【アジサイ事件】-事件記者 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
「どう?ボクたち、けっこうお似合いのカップルだと思わない?」
朽屋の頭の匂いを嗅ぎながら、ニヤニヤする。
「そうだ、この前、とてもかわいらしいワンピースを買ったんだ。ちょっと待って」
まるで誰かに話しかけているかのようにしてベッドを降りて画面の外に消える青年。
すぐにクローゼットから自慢のワンピースを手に取り戻ってくる。
そのワンピースを朽屋の身体にかけて眺めてみる。
「ちょっと小さいかなぁ」
それはそうだろう。ワンピースはどう見ても子供用に見える。
「じゃあ、朽屋さん、お着替えしようか・・・今、脱がせてあげるね」
そう言って、寝ている朽屋のコットンシャツに手をかけた。いかにも不慣れそうな手つきで、固い第一ボタンをはずす。
「い・・・意外と・・・人のボタンはずすのって難しいんだね・・・」
第二ボタンにも手をかけ、なんとかはずす。
朽屋の胸の膨らみが感じられ、白いブラがチラリと見えた。青年の息が少し荒くなる。
次に第三ボタンに手をかけ外そうとした。
・・・が、その時青年の脳裏に浮かぶものがあった。
それは子供時代に見た特撮ビデオでのワンシーンだ。
ヒロインが急に苦しみだし、胸の痛みを訴える。
「ボタンをはずして・・・」というお願いにヒーローは仕方なく服のボタンをはずそうとするのだが、実はこれは悪の組織が仕掛けた罠。第三ボタンをはずすと、ヒロインの体内に仕掛けられた核爆弾が爆発する仕掛けだ。
子供時代に見たそんなシーンにドキドキしていたのを思い出し、朽屋の第三ボタンをはずす手が止まった。一旦ベッドから降り、朽屋を眺める。
「え・・・爆発とかしないよな??・・・どうしよう・・・ボクの部屋で爆発されたら、大事なコレクションが・・・」一人ブツブツと何かを言いながら考え込む青年。
「ねぇ!ちょっと!・・・キミ、こら!今ワタシに叡知な事しようとしたでしょ!!」
朽屋が目覚めた。
「うわっ、も、もう気が付いたの??薬が切れるのが早すぎる・・・」
「フン、やっぱりね。さっきの紅茶に睡眠薬とか入れてたんでしょ? 誰が飲むかっての。飲んだふりして、カマかけてみたのよ!」
「そっ、そんな・・・さっきまではホントに眠ってたと思ったのに・・・」
「寝たふりしてたらホントに眠くなって、ちょっとだけ寝ちゃったのよ!!」
「なんてこと・・・」
「よいしょっと」ベッドを転がり、足を床につけてスックと立ち上がる朽屋。
「よく見ときなさい」
そう言うと朽屋は結束された腕を後ろに大きく上げ、思い切り自分のお尻に手首を打ち付けた。その瞬間、ぱしっと音を鳴らして結束バンドがちぎれた。
朽屋の腕は自由になり、今切れた結束バンドの切れ端を、今度は足を結んでいる結束バンドに通して、ワイヤーソーを使う要領で素早く動かした。・・・足の結束バンドは、プツッと切れて足も自由になった。
結束バンドは引っ張り強さはあるが、せん断応力に弱く、衝撃で切れやすい。また、プラスチック製のため熱に弱く、摩擦熱で簡単に切れる。
kamaです。自分で書いてて一番楽しい完全自己満足の「朽屋瑠子シリーズ」もおかげさまで8話目となりました。今回は、いつもの妖怪・悪魔退治とは打って変わって対人間です。
ボクの作品を読んでくれている方ならお分かりと思いますが、以前投稿させていただいた
「アジサイガサイタヨ」の解決編となります。あちらの作品をまず読まれてから、こちらお話を読まれると、世界観が広がってより楽しめるかもしれません。
じっくり楽しんでいってください。
解決編で犯人が判りスッキリしました。犯人はロリコン変態気質かな?身震いがするような恐さがありますね。
やはり悪い事をすれば天罰がくだるんです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
「アジサイガサイタヨ」のお話は殺人犯が犯行をやり遂げて、そのまま終わったことで非常な不快感を持って終わりましたが、クッチャルコがそれを回収できていれば幸いです。朽屋も最後は目をつぶってましたしね。裁かれるべくして裁かれた、という感じでしょうか。次回作もお楽しみに。
最後のほうに「そば屋に出る幽霊」の解決篇が今から期待しています。
↑kamaです。それもおもしろそうですね。
札幌のホテルで首を切断された男性遺体。
朽屋瑠子が公開されると、似たようなキーワードの事件が発生する。
とくのしんです。コメント返しです(笑)
シリーズ化凄いですよね。それに投稿数も凄いと感心しちゃいます。
自分は単発物しか書いていませんが、話の仕入と仕事の合間しか書かないので、頑張っても投稿数は1~2程度が限界です。
kamaさんのこのシリーズは個人的に凄く楽しめているので、これからも怖くて面白い話の投稿楽しみにしています。
↑kamaです。ひょえ~~~とくのしん様、ありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは自分で書いてて一番楽しい作品です。なんたって過去の書いたお話のプロットはそのままに、別視点で解決編を書けますからね。キャラたちが勝手に動いて事件を解決していくのでボクも楽しみにしております。
お褒めを頂いた投稿数も、そろそろネタ切れですから、これから頻度は下がると思いますが、今後ともよろしくお願いします。とくのしん様作品はかならず全部読ませていただきます~~ありがとうございました~!
アジサイ含め、彼が育てていると言った植物はすべて毒草ですね。
面白かったです!
胸の第3ボタンを外すと大爆発・・・ビジンダーですね。