【アジサイ事件】-事件記者 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
「どうぞ、シンガポール産のアールグレイですよ」
「ありがとう~いただきます。それにしても立派なオウチですよね。ご家族は?」
「父も母も、今は海外です。なんだかよく知りませんが、大規模な国家プロジェクトとかで、家のことはほったらかし。ボクが全部やってるんですよ」
「へぇ~、じゃあ、あの綺麗なアジサイもあなたが管理を?」
「えぇ、アジサイだけじゃないですよ。スズランに、チョウセンアサガオ、キョウチクトウに、ジギタリス・・・」
「へぇ、すごいのね。・・・あの真っ赤なアジサイもすごいわね。ワタシ初めて見たかも」
「良かったら、後でお見せしますよ」
「ぜひお願いします」
「ところで朽屋さんはなぜこんなところに?」
「取材です。ほら、ご存じかと思いますが、お隣にお住いの長谷川さん、今月初め頃から行方不明じゃないですか?」
「えぇ、そうですね。警察の方も聴き込み調査に来てましたけど、ボクには心当たりがないので、何もお答えできなくて・・・」
「お婆さん、まだ生きてると思います?」朽屋が紅茶を飲みながら問いかける。
「うわぁ、いい香り。こんなお紅茶初めてかも~」
「おいしいでしょう?・・・お婆さん、生きていればいいですね・・・ていうか、月刊モーでは行方不明者も探すんですか?」
「そうなんですよ。デスクの・・・編集長の命令でね。これはUFOの仕業かもしれないって・・・」
「あはは、さすが、ヴィンセント三上編集長! 目の付け所が違うなぁ」
「編集長の・・・名前が・・・スラスラ出てくるなんて・・・ホントに好きなんですね、月刊モー・・・」
「えぇ、こう見えてもボク、何度かモーに投稿もして採用されたこともあるんですよ」
「・・・へ~、それは・・・いつも・・・ありがとう・・・ございます・・・」
朽屋は会話をしている間にだんだん意識が朦朧として、目がトロンとしてきた。
・・・反応がどんどん鈍くなって、とうとう首がコクンと傾いた。
「朽屋さん・・・朽屋さん・・・寝ちゃったんですか? ふふ、クスリが効いたみたい。
・・・朽屋さんって、かわいいな。オカルト雑誌の記者なんて、もっと腐女子的な人を想像してたのに、すごくキレイな人じゃないですか。ボク、なんだかドキドキしてきちゃった。
・・・あぁ、どうしようかな、母さんやお婆さんみたいな方法じゃ体に傷がついちゃってもったいないし・・・このキレイな姿のまま壁にでも飾りたいなぁ。そうだ、こんなカジュアルな服装じゃなく、もっと女の子らしいかわいい服に着せ替えて・・・」
そう独り言を言いながら、青年は園芸用の結束バンドを使って朽屋を後ろ手にして手首、足首を縛った。そしてそのままずるずると引きずって、家庭用エレベーターで2階へ上がった。まるで獲物をつかまえた土蜘蛛が、それを巣穴に引きずり込むように。
2階に着いた青年は、またズルズルと朽屋を引きずって、一番奥の自分の部屋に連れ込んだ。そして朽屋を自分のベッドに寝かせて、しばらくその姿を眺めてみた。
「はぁ、はぁ・・・、ドキドキしてきたよ、朽屋さん。女の子でボクの部屋に入ったのも、ボクのベッドで寝たのも、朽屋さんが初めてだよ。・・・そ、そうだ記念に動画を撮っておこう」念入りにカメラのセッティングを始める青年。
「よし、画角OK。録画開始だ」
朽屋の隣に横になり、朽屋を抱き寄せる。
朽屋の髪をなでながら、カメラ目線で話しかける。
kamaです。自分で書いてて一番楽しい完全自己満足の「朽屋瑠子シリーズ」もおかげさまで8話目となりました。今回は、いつもの妖怪・悪魔退治とは打って変わって対人間です。
ボクの作品を読んでくれている方ならお分かりと思いますが、以前投稿させていただいた
「アジサイガサイタヨ」の解決編となります。あちらの作品をまず読まれてから、こちらお話を読まれると、世界観が広がってより楽しめるかもしれません。
じっくり楽しんでいってください。
解決編で犯人が判りスッキリしました。犯人はロリコン変態気質かな?身震いがするような恐さがありますね。
やはり悪い事をすれば天罰がくだるんです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
「アジサイガサイタヨ」のお話は殺人犯が犯行をやり遂げて、そのまま終わったことで非常な不快感を持って終わりましたが、クッチャルコがそれを回収できていれば幸いです。朽屋も最後は目をつぶってましたしね。裁かれるべくして裁かれた、という感じでしょうか。次回作もお楽しみに。
最後のほうに「そば屋に出る幽霊」の解決篇が今から期待しています。
↑kamaです。それもおもしろそうですね。
札幌のホテルで首を切断された男性遺体。
朽屋瑠子が公開されると、似たようなキーワードの事件が発生する。
とくのしんです。コメント返しです(笑)
シリーズ化凄いですよね。それに投稿数も凄いと感心しちゃいます。
自分は単発物しか書いていませんが、話の仕入と仕事の合間しか書かないので、頑張っても投稿数は1~2程度が限界です。
kamaさんのこのシリーズは個人的に凄く楽しめているので、これからも怖くて面白い話の投稿楽しみにしています。
↑kamaです。ひょえ~~~とくのしん様、ありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは自分で書いてて一番楽しい作品です。なんたって過去の書いたお話のプロットはそのままに、別視点で解決編を書けますからね。キャラたちが勝手に動いて事件を解決していくのでボクも楽しみにしております。
お褒めを頂いた投稿数も、そろそろネタ切れですから、これから頻度は下がると思いますが、今後ともよろしくお願いします。とくのしん様作品はかならず全部読ませていただきます~~ありがとうございました~!
アジサイ含め、彼が育てていると言った植物はすべて毒草ですね。
面白かったです!
胸の第3ボタンを外すと大爆発・・・ビジンダーですね。