総務部・災害対策チーム班長はやっぱり早く帰れない
投稿者:kana (216)
「あなたすいません、改札のところにAEDがありますから、持ってきてください」
近くで見ていた若い人に声をかけた。彼は走ってAEDに向かってくれた。
ホームにもやっとたくさんの駅員が現れたが、事態の対応にてんてこまいのようだ。
「ハイ、AEDを持ってきました!」
先ほどの青年が素早くAEDを持って来てくれた。
「ありがとう」
…が、ここで少しためらいが出た。相手は女子中学生。
衆人の前で肌を露出するのも、男性である自分がそれをするのもマズイ気がしました。
「だ、誰か女性の方でAEDを操作できる方はいませんか?」
大声で尋ねるも、周囲にいる女性たちには皆出来ないと断わられた。
しょうがない。緊急事態だ。自分がやるしかない。
代わりに、女性陣には周囲をぐるりと取り囲んでもらって、
目隠しのカーテンを作ってもらう事にした。
だが、よく見ると、服を脱がせる必要がないことにすぐに気が付いた。
彼女はセーラー服の夏服で、襟のあたりと脇のあたりは比較的開いており、
AEDの電極パッドを押し込むくらいならば、何もわざわざ服を脱がさなくても
行けると判断できた。
「キミ、すまないがちょっと手伝ってくれ」
AEDを持ってきてくれた青年にそのまま手伝ってもらうことした。
まずAEDのフタを開ける。
フタ開けると連動して自動的に電源が入る。
そして自動音声が流れ始め、AEDの使い方を説明しだす。
ノンビリ説明を聞いている暇はないので、ボクはパッドのフィルムをすぐにはがし、
彼女の襟元から右胸上部に1枚、左脇からもう1枚、ちょうど心臓を斜めに挟むような形で
彼女に電極を貼り付け、AEDによる診断を待った。
AEDは自動で電気ショックが必要な状態かどうかチェックしてくれる。
「カラダニ触ラナイデクダサイ・・・心電図ヲ調ベテイマス・・・カラダニ触ラナイデクダサイ…心電図ヲ調ベテイマス」
「電気ショックガ必要デス…充電シテイマス」
やはり、電気ショックが必要なようだった。
ボクは大きな声で「電気ショックを与えますから、みなさん少し離れてください」と指示を出した。女性陣のカーテンの輪が少し広がった
kamaです。こちら、昨年の夏ころに他所で書いた「救命現場での心霊体験」というお話を、プロットはそのままに、大幅にアレンジを加えて加筆修正したものとなります。ですのでタイトルも新たに付けなおして「総務部・災害対策チーム班長はやっぱり早く帰れない」というものに変更させていただきました。というのも、多くの人がこれを呼んだ後の感想として、このおっさん何者だよ?医者か?という問いが多かったため、最初にその答えをタイトルにいたしました。
・・・人気が出るようなら、シリーズ化してもおもしろいかもしれないですね。
迅速な対応と適切な指示のおかげで、女学生が助かって良かった!鉄道事故はいろんな意味で処理等大変ですね。シリーズ化、是非お願いします!
どんな状況下でも、的確に指示ができる人はヒーローです。
臨場感ありますね。
心霊と見せかけて緊急時の一般人ができる最善を教えてくれるお話かと思ったらやっぱり心霊でした
男の自殺した状況が詳しく書かれていてそれはそれで怖かった…
トラウマになりそう。
びっくり!この作品、韓国語の動画になってYoutubeにあげられてた。けっこうイイ作り。韓国語だから何言ってんのかぜんぜんわからないけど。
いい話や
飛び込み自殺者の頭を見つけたらサッカーボールのように踏みつけて死に恥を掻かせろという話を聞いたことがあるが、道連れを探していた悪霊の心をへし折るには良い方法なのかもしれんな