総務部・災害対策チーム班長はやっぱり早く帰れない
投稿者:kana (216)
助手の青年にAEDのボタンを押すようお願いし、一瞬、電気ショックが発生した。
ボクはすぐさま胸骨圧迫に入った。「1!、2!、3!、4! ・・・」
胸骨圧迫を30回行ったところで、彼女がやっと息を吹き返した。
「やった、成功だっ!」
思わず助手をしてくれた青年と抱き合って喜んだ。
周りにいた女性陣たちからも安堵の声が漏れた。
血まみれの地獄の駅ホームで、わずかに輝いた明るい声だ。
「よし、彼女の体を横にするのを手伝ってくれ」
「ハイ」
彼女の体を横に向けて片足を曲げた体制にする。人によっては嘔吐してしまい、それが気管に入ることもあるため、この姿勢にしてできるだけ安全を確保するのだ。
そうこうしてる間に、本物の救急隊員がやっと来てくれた。
彼女はタンカに載せられ運び出されて行った。
ボクは救急隊員に状況説明をしたが、結局手伝ってくれた青年と一緒に救急車に同乗し、
彼女と一緒に病院まで行くこととなった。
そしてこの時、ボクは背筋が凍る思いをした。
まだ救出すらされずに車両とホームの間に挟まれた男が、ブルーシートで隠される寸前、
突然ぐるりと振り向いて、こちらを見たのだ。
割れた頭から流れ出る血の間から、らんらんと見開かれた恐ろしい眼差しを向けていた。
ヤツは、絶対道連れを欲しがっていたに違いない。
もう少しで連れて行けそうだった女子中学生の魂を、ボクらが邪魔をしたと言うわけだ。
あの男は、そのままあそこで地縛霊になってしまうかもしれない。
早くお祓いをして、転落防止用のホームドアも設置してもらいたい。
・・・そうしないと、またすぐ次の犠牲者が出るかもしれない・・・。
それはボクかもしれないし、あなた・・・かもしれない・・・。
kamaです。こちら、昨年の夏ころに他所で書いた「救命現場での心霊体験」というお話を、プロットはそのままに、大幅にアレンジを加えて加筆修正したものとなります。ですのでタイトルも新たに付けなおして「総務部・災害対策チーム班長はやっぱり早く帰れない」というものに変更させていただきました。というのも、多くの人がこれを呼んだ後の感想として、このおっさん何者だよ?医者か?という問いが多かったため、最初にその答えをタイトルにいたしました。
・・・人気が出るようなら、シリーズ化してもおもしろいかもしれないですね。
迅速な対応と適切な指示のおかげで、女学生が助かって良かった!鉄道事故はいろんな意味で処理等大変ですね。シリーズ化、是非お願いします!
どんな状況下でも、的確に指示ができる人はヒーローです。
臨場感ありますね。
心霊と見せかけて緊急時の一般人ができる最善を教えてくれるお話かと思ったらやっぱり心霊でした
男の自殺した状況が詳しく書かれていてそれはそれで怖かった…
トラウマになりそう。
びっくり!この作品、韓国語の動画になってYoutubeにあげられてた。けっこうイイ作り。韓国語だから何言ってんのかぜんぜんわからないけど。
いい話や
飛び込み自殺者の頭を見つけたらサッカーボールのように踏みつけて死に恥を掻かせろという話を聞いたことがあるが、道連れを探していた悪霊の心をへし折るには良い方法なのかもしれんな