賃貸の一軒家に引っ越した結果
投稿者:N (13)
『あーきゃきゃきゃっうーうー』
すると、俺が眠って何分経過したのか、不意に赤子の楽しそうな声が聞こえて来た。
我が子が随分と楽しそうに泣いていると思い、俺は背伸びと共に目を覚ました。
そして、隣のベッドを見るとそこには眠っている我が子が居た。
「あれ?」
今の声は夢だったのだろうか。
それにしては随分と耳に残っているが。
それにリビングが暗い。
テレビは点いているが、何故か照明が消されていた。
すぐに電気を点けたが、いつの間に電気を消したのだろうか。
『あーきゃきゃきゃっうーうー』
すると廊下の奥、恐らく二階から赤子の声が聞こえてきた。
俺は咄嗟にリビングのベビーベッドに振り返り、自分の赤ちゃんがすやすや寝ている姿を確認した。
こんなに眠っている赤ちゃんが泣き声をあげられる筈がない。
では、今の泣き声は誰が何処から…?
そう思っていると、再び二階からその泣き声が聞こえたのだ。
二階に誰かが居る。
同時に妻が二階に誰かが居ると騒いでた光景が想起された。
本当に二階に誰かが居るのかもしれない。
いつ、どこで、どうやって忍び込んだのか。
もしかしてこうやって赤子の泣き声を流して妻に恐怖心を与えていたのか。
だとすれば許せない悪戯だ。
俺は恐怖心より、妻の精神を侵した犯人への怒りで満ちていた。
何か武器はないか。
包丁…は流石にやりすぎか、或いは相手に奪われた場合に俺自身が殺されかねない。
そこで麺を伸ばすのに使う棒が目に付いたので、警棒感覚で手に取った。
こんなのでも当たればそこそこ痛いだろうし、何もないよりはマシだ。
そして、俺は二階へ上がった。
なぜか半開きの寝室。
閉めたはずだが。
そっと中を覗き込めば窓辺から夜光が差してうっすらと中を確認できる。
しかし、パッと見渡す感じでは人の姿が無い。
いや怖いよ