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takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

霊感体質の理香先輩
長編 2022/12/08 21:50 5,282view
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私が高校生の時の話です。
所属していた弓道部に、理香さん(仮名)という一学年上の先輩がいました。
「〇〇(私)くん、もしかして人に見えないものが見えたりする?」
入部してすぐに理香先輩が、他の部員には聞こえないように、こっそりと訊ねてきたときは驚きました。
私は幼少時から、不思議なものを見たり聞いたりすることがあったのです。
経験上、そういうことを他人に話すとおかしな奴だと思われるだけなので、むやみに話さないようにしていたのです。
しかし、理香先輩の切れ長の涼やかな目で見つめられると、「はい、実は……」と、包み隠さずに話していました。
最後に「見えてもあまり気にしないことにしています」と付け加えると、
「うん、そのほうがいいよ、これからも無視する方向でね」と先輩は笑って頷きました。
変なことを言う人だなあと思いましたが、そのときはそれで終わり、しばらくはなにごともなく過ぎていきました。

それから一ヶ月ほど経ち、部活で少し遅くなった私はひとりで校門を出ました。
すると数十メートル前方を歩く人影がありました。
かなり薄暗くなっていましたが、うちの学校の制服を着て、長い髪を結い上げた長身の後ろ姿はたしかに理香先輩です。

私のほうが先に部室を出たはずなのに変だな? と思いつつも、声をかけて挨拶でもして帰ろうと足を早めました。
三メートルくらいまで近づき、声をかけようとした時、後ろからパタパタと走ってくる足音が聞こえたかと思うと、ぐいっと腕を引かれたのです。
驚いて振り返ると、そこには険しい表情の理香先輩が立っていました。
「なにやってんの、ダメだよ!」と、厳しい口調で言われ、「え、先輩? じゃああれは……」
慌てて前を見ると、さっきまで理香先輩だと思っていた後ろ姿はどこにありません。
目を離したのはほんの数秒、すぐに身を隠せる場所などない道です。
呆然としている私に「無視する方向で、って言ったじゃん」と、先輩は小さく首を振りながら溜息をつきました。

帰る道すがら、理香先輩が話してくれたところによると、
「先輩自身は非常に強い霊感体質であること」
「見えると同時にやたらと引き寄せる体質でもあること」
「見えたり、引き寄せられてきたモノは、先輩に対して危害を加えたりしない、またはできないようだということ」
「先輩には除霊やお祓いといった退魔的な力はない」
私に関しては、

「見ることはできても引き寄せたりしない」
「先輩が引き寄せたモノのうち、私が見えることに気づいたタチの悪い輩がちょっかいをかけてくることがある」
のだそうで、
「これからはちょっとでもおかしいと感じたモノや現象は徹底的に無視するんだよ、そうすれば諦めて離れていくから」と、念を押されました。
先輩は幼い頃はよくそんな話をして、周囲から気味悪がられていたそうで、分別はついてからは他人にその手の話はしなかったというのも、私と同じだなと共感できました。
しかし、「〇〇くんは会ってすぐに似たような体質だとわかった、さっきみたいなことがあるので、放っておくと危険だから話した」ということでした。
「じゃあ、さっきのは……」
「うん、あまり良くないモノだよ」
「そうなんですか、ぼくはてっきり先輩だと思ったんですけど」
普段冷静な先輩の表情が、さっと変わり、
「え? さっきのヤツ、〇〇くんには私の姿に見えてたの?」
「はい? 違うんですか?」
「私には全然ちがうモノに見えてたけどね」
そういう先輩の顔色は青ざめており、私はそこではじめてゾッとしたのです。

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