異様に暗いマンション
投稿者:J2 (8)
それからも彼女とは仲良くしていましたが、学校で話すだけで放課後は遊ばなくなりました。
お互いの家にも行くことはなくなり、私たちはそのまま中学生に。
中学ではそれぞれに仲の良い友達ができ、彼女と会うことも話すこともなくなりました。
そんな時、母が久々に「あの子のマンションに行った時のこと覚えている?」と口を開いたことがあります。
「うん、覚えているよ。」そう言う私に母は。
「仲良くしていたけど、今はそうじゃないみたいだから言うわね。」と言い、こんな話を教えてくれました。
友達のマンションの3階には事故物件があるそうです。
3階の部屋には私より何歳か上の女の子とその両親が住んでいたらしい。
小学校の登下校でも何度か見たことがある女の子でした。
そのお母さんがベランダから飛び降りて自殺をしたらしい。
それを目撃したのは私の友達でした。
人が落ちてくるところ、人の身体から血が吹き出たところ、その後の救急搬送。
一部始終を見て激しく泣き、落ち込んだことがあるらしい。
人が亡くなったということにも驚きましたが、私はそれ以上に驚いたことがありました。
「なんで?友達はそんなこと一言も言わなかったし、普段と様子も変わりなかった。」
そう、彼女がそんな惨状を見ても私への態度を一切変えなかったことです。
たぶん私に隠そうとし、平常を装っていたのだと思います。
雷1つでも極端なぐらい怖がる彼女が態度1つ変えないことに1番驚きました。
「噂だから、ここからの話は本当かは分からないけど。」
そう言って母が話の続きをしてくれました。
お母さんが自殺をして以降、その家の女の子は小学校卒業まで普段と変わらず学校へ通ったそうです。
しかし、中学になってからは家に引きこもるようになり、お父さんは無視して仕事に。
やがて家はゴミ屋敷へと変わっていき、気づけば父と娘で夜逃げをした様子だったそうです。
現在ではハウスクリーニングも行われ、空き家になったまま新しい借り手はついていないと言います。
あの女の子と父親が今どこでどのように暮らしているのかは分かっていないそうです。
自殺があって以降、マンションでは3階でエレベーターが止まるのは日常茶飯事になったらしい。
マンションの住民は何度も管理会社へ訴え、都度修理業者が来たが、改善することもありません。
最終的にマンションの住民が皆諦めて今に至るらしい。
母はこの話をマンションに訪れた数日後に友達のお母さんから聞いてたと話します。
しかし、私に言うと友達にも伝わってしまい、彼女の心を傷つけることになるからと言わなかった。
怖いです。