亡くなった後も孤独な霊
投稿者:J2 (8)
私が新卒入社した職場での体験です。
私の入社とほぼ同時期に退職をした男性がいたという話を小耳に挟みました。
当時は「私はその人と入れ替わりでこの部署に配属されたんだな。」と思って聞いていました。
ところが、「まだ若かったのに。」という言葉もだんだんと耳にする機会が増え、その人が亡くなっていることを知りました。
その頃私は入社後半年程。
退勤時間を迎えて外に出ると、人がいるのです。
まさか人がいるとは思わず驚くと、「ごめんなさい、驚かせて。」
そう言って30代前後の大柄な男性が会釈しました。
彼のことは入社後全く見たことがない人で、「何か御用ですか?」と話しかけましたが「いえ、別に。」と言われました。
ぼーっと立っている日もあれば、本や携帯を見ている時もある。
退勤時間、通用口に出ると必ず現れるその男性。
奇妙に感じ、上司に頼んで勤務時間を変更してもらいました。
早出でも遅出でもその人は退勤時間、必ず通用口に立っている。
そして「今日もお疲れ様です。」なんて挨拶をしてくる。
挨拶以上の会話はなく、用を聞いても特にないの一点張り。
通用口から数メートルぐらいはついて来るが、私が車に乗るとそれ以上ついて来ることは無い。
もしかして付きまとわれているのではと不信感を感じ、そのことを仲の良かった先輩に相談しました。
先輩は一言、「そんな人いましたか?」
私がその男性の特徴などを説明しても全く分かってもらえませんでした。
なんでこんなに分かってもらえないんだ。
先輩に対して気疲れを感じていた時、その様子を見ていたパート勤務の先輩に話しかけられました。
「もしかして、大柄で、いつも青いカバン持っていなかった?」
そう言う先輩に「そうです!」と勢い余って大きな声で返事をしました。
どうやらその男性は見える人と見えない人と分かれているような様子。
「一体その人って?」そう見える先輩に尋ねたところ、「実はね。」とこんな話を教えてもらいました。
その男性は、私が入社したと同時に退職したと言われている男性でした。
彼は入社後5年ほど経った途端、急にうつむいたようになり、口数が極端に減ったそうです。
上層部からは精神を患っているなら休職か退職を選んでもらうと言われ、さらに落ち込んだ彼は自宅で自殺を図ったそうです。
彼は退職扱いとなり、その同時期に私が入社してきた。
そして、その後今まで彼が職場に現れることは無かったそうです。
分かります。職場離れてよかったです。