異様に暗いマンション
投稿者:J2 (8)
私が小学生の頃、仲が良かった友達がいました。
彼女は家が近所で、一緒に帰ったり放課後に遊んだりしていました。
放課後は毎日のようにお互いの家に行き来し、親同士も仲が良い。
そんな彼女の自宅マンションに夜19時頃、母と一緒に行ったことがあります。
「PTAの書類を渡すのを忘れていたから持って行く。」
そんなことを母に言われた記憶があります。
私は彼女と会える喜びでスキップしながら一緒について行きました。
しかし、彼女のマンションに夜行くのはその時が初めて。
昼間に比べて異様なまでに暗く、どんよりしたような雰囲気でした。
さっきまで明々としていた住宅街が嘘だったかのような雰囲気の違いを感じました。
街灯も少なく、暗闇で足元が見えない。
唯一明るく光っているのはマンション横にある自動販売機だけでした。
丁度季節は夏。虫の鳴き声だけが辺りをざわつかせている。
「こんなところに、本当に人が住んでいるの?」と思うぐらいの暗さと静かさでした。
なぜかマンションの部屋の窓には全室明かりもついていない。
人の話し声や犬の鳴き声、生活音すら耳をすませても1つも聞こえない。
友達と会える楽しみで胸がいっぱいだったのが一変し、マンションを見た途端に帰りたい気持ちが強くなりました。
さっきまで楽しげに学校の話をしていた母も急に喋らなくなりました。
私も母も無言のまま、エレベーターに乗り、彼女の住んでいる7階のボタンを押します。
エレベーターが動き出し、そして3階で止まる。
誰かが乗ってくるのかと思いきや、誰も来ない。
エレベーターから一歩足を出して辺りを見ても静まり返った暗い廊下があるだけ。
閉めるのボタンを押すと、一旦閉まるがまた開く。
これを2,3回繰り返した時、ようやくエレベーターが動き出して7階に行きました。
さっきまで終始無言だった母が「怖かった!」とさっきの話を友達のお母さんにした時。
友達のお母さんは冷静な顔で「よくあるのよ、ここのエレベーター。」と言います。
用を済ませ、「怖かったね。」と母と話しながらエレベーターに乗りました。
またエレベーターは3階で止まり、2回くらい開いては閉じを繰り返して1階に着きました。
「もう二度と行きたくない。」
恐怖で変な汗が伝いながら、私は母と小走りで家に帰ったのを思い出します。
怖いです。