異様に暗いマンション

中学２年生、３年生は彼女と同じクラスでしたが、話すこともありません。

それぞれ話の合う友達と親しげに話していたため、マンションの話を聞いてから本人にそのことを聞くこともありません。

あれから１０年。

私と彼女はほとんど話すこともないまま別の高校へ進学した。

私は就職し、彼女は専門学校へ進学したと聞いたが、その後のことは全く知らない。

飲食店もあり、大手車販売店や工場、住宅街、コンビニなど、所狭しと連なっている私の住む地域。

こんなに明るい街の中、夜になると暗さを放っているようなマンションがある。

今も仕事の通勤でその前を通っているが、何度見ても不気味さは変わらない。

「事故物件」という言葉をよく耳にするが、実際にその現場に立ち会ったことはない。

こんなに近所で、友達の目撃談もある。

私の人生で１番、事故物件が一気に身近に感じた体験でした。

今でも鮮明に記憶にある、あの夜のエレベーター。

止まって誰もおらず、閉じてはまた開く。

見えない誰かの手でボタンを強く押されているようなあの感覚。

もしかしたら、亡くなった人が自分も乗るんだと主張をしていたのかもしれない。

大人になった今だからこそ、あの当時の思い出もようやく理解できるようになりました。