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心霊

withさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

廃屋で見つけた「みいちゃんのアルバム」
長編 2021/12/18 21:31 10,823view
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実は俺はあの家からアルバムを抱えて出てきたのだ。
日焼けした外用紙を捲り、Aと興味津々に覗き、Cは怖いもの見たさが勝り首を伸ばして覗いていた。

「どれも女の子?の顔が焦げとるってか、何かうまい具合に汚れて隠れとるな」

え?

俺とBはAの呟き同然の独り言に目を丸くした。
さっき見たときは無表情の女の子が映っていたハズなのだが、今見ている写真の女の子はどれも顔が汚れで塗り潰されて表情を確認できなくなっている。

持って出る間に汚したのか?いつどうやって?

次のページも確認してみるが、どの構図も決まって女の子の顔だけが塗り潰されていて、俺はついさっき見たにもかかわらず表情が思い出せない事に気持ち悪さを覚えた。

しばらくその写真の女の子の顔を思い出そうと凝視していると、

ぼーーーー

不意にあの汽笛のようは声が耳に入ってパッと顔をあげた。

「わああっ!?」

俺の正面、車体の下からヌッと車のフロントの先に写真の女の子が顔を半分覗かせていた。
髪型というか輪郭は瓜二つだったが、顔が全面黒の絵の具で塗りつぶしたように真っ暗で表情がうかがえない。

だけど「ぼーーー」という低温で響く声がそこから発声しているのは間違いないと俺は確信できた。

「うお!ビビった、どした?」

俺が突然悲鳴をあげたせいで車内の皆が肩を跳ねさせて反応し、Bが俺の肩を揺する。

「く、車出すわ。帰るぞ、小便いきたくなった」

俺は有無を言わせないように早口で捲し立て、強引に車を発進させた。

この時、周りで三人がああだこうだ言ってた見たいだが、俺は一刻も早くあの廃屋近辺から遠ざかりたくて無我夢中でアクセルを踏み続けた。

そして、近くのファミレスの駐車場に車を停めさせてもらい、しつこく問い詰める友人達に車を発進させた理由を話す。

「アルバムを見てたときぼーって音が聞こえてきて、それでフロントを見ると黒い顔がこっちを見てたんだよ。たぶん、この写真の女の子」

正直、内心動揺してた俺のちぐはぐな説明で納得してもらえるとは思わなかった。

ただ、一緒に2階で行動を共にしたBだけは神妙な面持ちで、

「ぼーって、あの2階のドアから聞こえてきたやつか?」

俺は頷いた。

それにBは一緒にアルバムを見ている。
その時は女の子顔に汚れはなく、しっかり表情が写っていたのも知っているので俺が言ったことを信じてくれた。

ただAは「嘘くせえ」と鼻をほじりながらシートに背中を預け、Cは半信半疑のまま「ホームレスの悪戯でしょ?」とホームレス説信仰を続けている。

「まあ、ついでだしこのまま家まで送ろうか」 

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