「賽の河原」での恐怖体験
投稿者:一角 (1)
小学4年の他校との交流会兼宿泊学習でT島に訪れることになった。
村長の案内で島内を回り最後に案内されたのが「賽(さい)の河原」と呼ばれる場所だった。死んでしまった子どもが行くとされている三途の川の河原で、河原の石を積んで塔を作って供養を続け父母に会えることを祈るが、鬼が絶えずやってきてせっかく積んだ石を崩されてしまうのだそう。子どもたちの想いが詰まった石だから賽の河原の石には触れてはならず、持ち帰ると良くないことが起きるという。
私はビビりだったので、そんな怖い噂があるだけでゾッとした。しかし、一部の子たちは面白がって「持ち帰って検証しようぜ!」と話していた。
次の日の朝、ずぶ濡れの男の子(A)が先生に抱っこされ、一緒に2人の男子児童(B、C)と一緒に別室に連れていかれるところを目撃した。
ここからはBと友達だった同級生から聞いた話。
Aは賽の河原から石をこっそり持ち帰ってきていた。夜にAが急に海に行こうと言い出し、さすがに夜の海は怖いからとB、Cは止めたがAはずっと行きたいと言っていた。朝方、BはAに起こされ、またもや一緒に海に行こうと誘われた。Bは勿論断ったが、Aは1人で海に行ってしまった。BはAの異変を感じ、Cを起こして一緒にAを追うと、Aは後ろ歩きで海の中へ入っていく途中で、もう肩まで浸かってしまっていた。それで急いで先生を呼び、先生が担いでAを海からあげたのだという。
不思議なのが海の深さで、Bが見た時には、Aは確かに肩まで浸かってしまっていて、かなり深いところまで行ってしまったのだと思ったらしいのだが、先生が助けに行った時には先生の膝までくらいしか水深がなく、長い浅瀬が続いており、Aは浅瀬で横になるようにして溺れていたらしい。
Aは賽の河原の石を持ち帰ってしまったがために、そこにいる子ども達の霊の怒りを買い、引きずり込まれそうになったのではないかと当時の同級生で話題になった。
そんな曰くのある場所に子供を引率する気が知れねぇ。もっとマシな場所あんだろ。