写ルンですに写ったもの
投稿者:無限者 (1)
最近、昭和後期から平成初期にかけて人気を博したインスタントカメラ、
「写ルンです」が人気になっているというニュースを偶然見て、
子供の頃に本当にあった出来事を思い出したので、記載させて頂きたく存じます。
私の小学生時代、夏休みは母の実家である新潟へ帰省するのが常でした。
母には兄弟姉妹が多くおり、自然といとこも沢山いました。
自然豊かな山の中を駆け回り、清流で水遊びなどをするのは、
当時東京都内に住んでいた自分にとって本当に貴重な体験でした。
いとこたちの大半が私と同じような都会暮らしでしたから、
皆、似たようにとらえていたのではないかと思います。
とても楽しい日々でした。
その当時、特に夏場になるとテレビや雑誌などで「心霊写真」の特集が組まれ、
祖父母の家の居間でドキドキしながら観ていました。
写り込んだ奇妙な影、何故か消えてしまった手足。
その不気味な写真の数々は、私たちに奇妙な高揚感をもたらしました。
一番年上の従兄が、ある時突然言いました。
「心霊写真を撮りに行こう!」
手には、当時手軽に写真が撮れると流行だった「写ルンです」。
ですが、心霊写真をどうやって撮るというのでしょう?
狙って撮れるものではないから貴重なのですし、
だからこそテレビで特番まで組まれています。
従兄には考えがありました。
「簡単だよ。お墓に行って撮れば良いんだ!」
実家の近くにはかなり古く荒れ放題の墓所がいくつかありました。
確かに「何か」が出そうな雰囲気もあり、妙案のようにも思えます。
ただ、死んだ人達が眠る場所を荒らすのはどうなんだろう。
そういう倫理観がどこかでブレーキをかけていたのも事実です。
従兄は熱弁しました。
これで面白い写真が撮れたらテレビで紹介されるんだ。
もしかしたらテレビに出れるかもしれないぞ。
興味方位や好奇心、悪戯などで行くべきじゃないと思うわ、特に墓わね。
写真に移るってなんだよ…
一瞬文字通りの意味かと思っちまった。
めっちゃ怖かった