解体業者の怖い話
投稿者:とくのしん (65)
「かれこれ、15年前くらいになるかぁ。あれは本当に嫌な思いをした」
そう話を切り出したのは、ヤクザ顔負けの強面社長こと角田さん(仮名)。角田さんは解体業の会社を経営しており、自身も現場監督として第一線で働いている。
「会社といっても個人事業主みたいなもんだからな、自分が動かないと現場が回らないんだよ(笑)」
豪快に笑いながら、中ジョッキのビールを飲み干す。そんな豪快な角田さんとは、知人の行きつけの居酒屋で知り合った。何度か顔を合わせるうちに顔なじみになり、私が怖い話を集めていると知った角田さんがこの話をしてくれることになったのだ。
角田さんは飲み干したジョッキをテーブルに置いたあと、腕を組みながら話を始めた。
「とある一軒家の解体依頼が来たんだけどよ」
その依頼は知り合いの不動産業者からだった。付き合いは古く、いつものようにまずは見積を頼まれた。
「じゃ、現地に行くから場所教えてよ」
早速角田さんは不動産屋からの情報をもとに現地へと向かった。そこは閑静な住宅街の外れに位置しており、比較的静かな場所だったという。
「綺麗な一軒家でさ。ありゃ大手のハウスメーカーでかなり金をかけた家だったと思う」
依頼のあった住宅は、白い2階建ての一軒家。解体と聞いていたから古い家かと思いきや、築年数が浅そうな物件だった。外構も立派で一面を囲う洋風な外壁に大きな門扉、庭は一風変わった独特なアプローチが施されている。庭には大きなウッドデッキもあり、家屋だけでなく外構にも相当お金を使ったであろうことが見て取れた。しかし、天然芝は手入れがされておらず、雑草と共に伸び放題。数年は空き家になっているであろう見てくれであったが、簡単なリフォームでまだまだ人が住める状態に見えたそうだ。
「物件見てきたよ。あれ、取り壊すのかい?あれなら売れるだろもったいない」
現地からの帰り道、不動産屋に物件の見積報告をするために連絡を入れた。
「角ちゃん、それでいくらくらいで請け負ってくれる?」
角田さんの質問に答えるより先に、不動産屋は答えを急いだ。性急な反応に少し戸惑いながら話を進める。
「そうだなぁ、あの敷地の広さと家のデカさ考えたら最低350万は欲しいな」
「・・・無理は承知でなんとか200万くらいでやってくれないか?」
「200万?そりゃいくらなんでも厳しいよ。家財道具なんかも込みだろ?そうなるとどんなに安くても300万は・・・」
「それじゃ250万!250万で頼むよ!」
提示された金額に断ろうかと思ったが、いつになく必死な感じに何か訳ありと踏んで
「・・・わかった。いいよ、それでやろうじゃないか。福田さんには何かと仕事回して貰っているし、たまにはその恩返ししないと罰が当たるってもんだ」
「角ちゃん本当に申し訳ない!」
「いいよいいよ。でもさ、福田さんが値切るにはそれなりの理由があるんだろ?野暮な質問というのは重々承知のうえで聞くけどさ、その理由っていうのを教えてくれないか?」
“福田さん”についてはおわかりだろうと思うが、念のため不動産屋の社長と説明しておく。福田案件に関しては“独自の相場”があるという。もちろん一般的な相場があるのだが、付き合いが長いこともあり“大体福田さんならこれくらいの金額でやってくれ”というような金額が感覚でわかるらしい。だからこそ今回、ここ数年は全く無かった金額交渉をしてきたことに驚いたという。
「角ちゃんを騙したみたいになっちゃうんだけどさ・・・」
「ん?」
「請け負ってくれたら説明はするつもりでいたんだけど・・・いや、ホントは見積依頼した時点で話さなきゃいけなかったんだけど。実はさ・・・何年か前にあっただろ?一家皆殺しがあったあれだよあれ」
「あー・・・あ!思い出した!あれか!」
「結構ニュースにもなっただろ。あの事件があった家なんだよ」
“あれ”というのは角田さんの地元で起きた一家殺人事件である。一家の主が出張中に、妻と2人の子供が殺害されたという痛ましい事件が過去あった。
包茎様の後じゃなに出してもダメだな
嫉妬してないで投稿しろよw
↑それなら自分でお書きになってみてはどうですか?
いつも楽しく拝読させて頂いております。誰が何と言おうと素晴らしい文章力と内容です。応援しております。
なんか新興宗教みたいでこわいね。
たくさんの投票ありがとうございました。
とくのしん