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呪い・祟り

綿貫 一さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

マンホール人になった友達
長編 2024/04/16 22:40 12,269view
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小学3年の頃、仲の良かった友達のAが、マンホールに落ちて死んだ。
事故だった。

Aが死んで何日か経った、ある夜のこと、僕はおかしな夢を見た。

薄暗い、どこかの路地裏だった。
僕の足元には、蓋が半分だけずれたマンホールがあって、その隙間から、僕を呼ぶAの声がした。

『よお、B。久しぶりだな』

「よ……よお、A。
お前、なんでそんなとこにいるんだよ……?」

僕の問いかけに、Aはかすれた声でケケケと笑った。僕は「こいつ、こんな変な笑い方をする奴だったかな?」と思った。

Aの顔は蓋の陰になっていて、よく見えなかった。
目だけが、かすかな光を反射して暗闇に浮かんでいる。

『俺か? 俺は今、ここに住んでるんだ。
俺は、マンホール人になったからな』

「マンホール人……?」

『そうさ』再びケケケと笑う。

『マンホールの下には、地下の世界があるんだ。そこに住んでるのが、俺たちマンホール人さ。
おっと、お前の考えてること、わかるぜ? 
「そんな話、聞いたことがない」
「マンホールの下には、下水とかが流れてたりするんじゃないのか?」

「毎日マンホールに入って仕事をしている人たちだっているんだから、これまで世間にバレずにいられるもんか」』

『――だろ?』それまで陽気な調子でまくしたてていたAだったが、不意に、低く恐ろしい声になった。
僕は黙ってうなずくしかなかった。
他にも何か忘れている疑問があったように感じたが、口には出さなかった。

『OK、親友のお前にだけは教えてやるよ。
まず、町中にあるほとんどのマンホールは、普通のマンホールさ。中には下水が流れていたり、電気のコードとかが這ってたりするんじゃないのか?
けど、その中にまぎれて何個かだけ、何百メートルも下にある地下の世界に通じている、特別なマンホールがあるんだ。
そいつは、いつも鍵がかかっていて開けられない。地下側からしか開けられないようになってるんだ。
マンホールで仕事をする人たちが「この開かないマンホールはなんだろう?」と思っても、会社のエラい人から「気にするな。無視しろ」と言われるんだ。会社のエラい人は、もっとエラい政治家からそう指示されてる。そいつらも、もっとエラい奴から。だから、誰もその存在に気が付かないんだ』

「すごくエラい奴しか、知らないってこと?」

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コメント(4)
  • C子は、マンホールに連れて行かれちゃったのですね((゚□゚;))

    2024/04/17/19:58
  • 4月度で一番おもしろかったです。自分の中ではグランプリかな。

    2024/04/26/21:23
  • 最初らへんfoll outの世界に似てる

    2024/05/26/00:29
  • いい世界感や

    2024/08/26/00:24

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