用水路のお地蔵様
投稿者:パティ (6)
このお話は妻の実家である福島県内のある小さな農村地域で体験した実際にあった実話になります。
これまで、余り気が進まず人に話すのは控えてきましたが、この場をお借りしてご紹介したいと思います。
私達家族は例年、盆、暮れ、正月の時期に福島県の農村部にある妻の実家を訪問しいます。この出来事があったのは今から10年以上前のお盆の時期に訪問した際に私が遭遇した不思議な体験になります。
妻の実家のある場所は市街地からは離れた周りは山と田んぼに囲まれる田園地帯で、とてものどかな場所であり、公共交通機関が周辺に通っておらず、かなり不便な地域です。
そして水田地帯に沿う道の両脇には水田用水としての用水路が流れています。過疎化も進んでおり、日中でも農作業をする人以外は人通りもほとんど無い、そんなのどかな場所です。
普段の生活から離れて、マイナスイオンの溢れる空気のおいしい所で、毎回行くのを楽しみにしている第二のふるさと的な場所となっています。
さて本題へと入りたいと思います。その日は、義父が農業関係の会合が市外であり、その後に宴席もあるというので、帰りの迎えを私が行くことになっていました。
そして、義父からの連絡を受けて、夜の10時位だったと思いますが迎えのために車を走らせました。家から出て10分もしない時でした。道の脇に流れる用水路に夜中だというのに釣りをしている子供の姿が目に止まりました。夜中なのでハッキリとは見えませんが、なにか竿のようなものを持っており、こちらの方を向いている感じで、野球帽を被っていたので顔はハッキリは見えませんでしたが、なんか気になり、こんな夜中に子供一人で釣りなんておかしいなとオヤっと思いましたが、田舎だし、ナマズやウナギなどの夜行性の魚でも釣っているのかなぐらいにしか思わずその場を通り過ぎました。そして義父を乗せて帰り道に、同じところを見ましたが、その姿はありませんでしたので、さすがに遅いから子供も帰ったんだなと思いました。
そして、その翌日、犬の散歩に出掛けて、しばらく歩き、昨日子供を見掛けたあたりに差し掛かったときに、昨夜は気が付きませんでしたが、用水路脇に小さなお地蔵様あって、そしてお花とお菓子が供えられていました。
それを見て、なにか背中をゾクッとしてなんとも言えない嫌な予感というか、とても不思議な感覚に襲われて、もしかしてと思いはじめ、だんだんと怖くなったので、逃げるようにしてその場から立ち去り、犬の散歩も早々に切り上げて実家へと戻りました。
そして、実家の義母に昨日あった出来事と、今さっき見た光景について話しました。すると義母はとても驚いたような表情になり、私は余りオバケとかは信じないけど、実は2年前の夏に、やはりお盆に帰省していた子供が用水路に釣りに出掛けたまま行方不明になった事故があり、翌日に水死体となって下流の用水路の合流部分で発見される水難事故があったとのことでした。
その後、何人も用水路で子供の姿を見かけたという人たちが出てきたこともあり、地域の人達で亡くなった子供の魂の供養のために小さなお地蔵様を設置したとの事でした。
その話を聴いている間、私は昨晩の様子を思い出して背筋が寒くなり、昨日の様子を思い返してみると、その時は余り気にはなりませんでしたが、何かを訴えるかのような表情だったようにも思えて、私に何かを伝えたかったのかとか考えたりもしました。わたしもハッキリとは見ておらず、車を運転しながらだったので、もしかしたら幻覚だったのかも知れませんし、見間違いかもしれません。しかし、私が見た場所とお地蔵様が設置されている場所が一致していたので、普段は心霊など信じない方なのですが、なんとも説明が出来ない出来事でした。
よくよく話を聞くと、実はその子の事故の前にも、その用水路では子供の水難事故が何件かあり、地元の人達は用水路で亡くなった子供達が、寂しくて遊び友達が欲しくて、子供を用水路に引き込んてるのではないかと言う人もおり、地元の子どもたちは、その用水路には決して近づかないようにと厳しく注意をされているとのことでした。
はたして、その時に私が見たものは一体何だったのだろうが、何かを伝えたかったのか、単なる私の見間違いなのかもれませんし、本当に何だったのか私にはわかりません。その見た後に私自身には何も起きてはいませんが、今でもお盆の時期には妻の実家を訪問した際には、かならず供養を兼ねて、その用水路にあるお地蔵様にはお花とお菓子をお供えしています。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。