二つの虫の知らせ
投稿者:kanze666 (10)
最初は私が体験したよくある話です。
社会人になり一年目。
華の金曜日、その夜は友人と外食の後カラオケ、飲み歩く予定でした。
しかし外食の途中、鳩尾あたりが痛くなり食べ終わる頃には我慢出来ないレベルでした。
時刻はまだ夜7時だったと思います。
食べた物が合わなかったのかもと友人にひたすら謝り、帰る事にしました。
当時私は実家から一時間離れたアパートに暮らしていました。
窓から明かりが漏れているので姉が遊びに来たかと思ったら、母まで居ました。
「良かった!今から探しに行こうとしてたのよ」
当時携帯はまだ広まっていなかった時代です。
どうしたの?と聞く前に母が赤い目で言いました。
「おばあちゃんが亡くなった」
母にとって、実の母です。
その日まで元気に散歩をしていたのに、自宅でころりと亡くなっていたそうです。
突然の事に向かう車の中で混乱していましたが、ふとあれだけ痛かったお腹がまったく痛くないのに気づきました。
後で聞いたら、母達はアパートに入ってどうしようかと相談していた時に、私が帰って来たそうです。
祖母が早く帰るように、虫の知らせをしてくれたんだと思っています。
二つ目は姉夫婦の話です。
晩御飯を食べていると、急にガタガタと戸棚が揺れました。
地震か?と電気のヒモを見ても揺れていない。
今度はカーテンがぶわっと舞い上がりました。
窓開けてた?と確認しても開いてません。
変だね、と二人で椅子に座った途端、今度はアパートの外階段を何かが猛烈な音を立てて上がって来ます。
ドンドンドン!!!
ドアが鳴ります。ノックなんてものじゃない、動物が体当たりしてるような音。
しかし数秒程で、おずおずと覗き窓から見ても誰も居なかったそうです。
イタズラだよね?と二人で乾いた笑いで居ると、電話が。
夫側の祖父が亡くなったとの知らせでした。
自己主張強目のじいちゃんだったのかな
虫の知らせなんて生易しい物じゃないですね。笑
熟れた文章でとても読みやすい書き手さんですね!
他のお話も面白いです
ここまで激しいものはなくとも、こういう知らせっぽいことってあるよな。