祖母の臨死体験
投稿者:kanze666 (10)
短編
2021/01/30
00:35
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友達のおばあちゃんの、よくある話。
友人視点で書きます。
祖母は痴呆が入っていて、孫の私の顔も名前も覚えていない状態だった。
かろうじて娘の母だけ名前を覚えていた。
去年の事。風邪をこじらせ祖母はとうとう危篤状態になった。
医者も「もうダメでしょう」と言っていたのに、昏睡状態から三日後意識を取り戻した。
奇跡の回復を見せて喋れるようになった祖母は、母にこんな話をした。
綺麗な花畑を歩いていたら、川があって、そこに歩いて行こうとしたら向こう岸に若い男の人が居た。
消防団の服を着ていて、手を振りながら怒っている。
「こっちに来るな!帰れ!」と怒鳴っていた。
怖くなって引き返したら、目が覚めた。
テンプレの臨死体験だ。
その男が誰なのか、祖母は分からないという。
でも男は怒鳴る前に名乗ったそうだ。
「おれは中川雄二だ!」
中川は友人の姓。
雄二は…
「おじいちゃんじゃん!」
母と二人でツッコミを入れた。
自分の姓どころか、夫の名前すら忘れてしまったのは痴呆ゆえ仕方ないけど…。
祖父は若い時に消防団に入っていて、その時の写真を祖母に見せたら、
「この人だった」
でも夫だったと思い出さなかった。
祖父としては、せっかく一番輝いていた時の姿で現れて、名前まで言ったのに、思い出してくれなかったのをどう思ったのだろうか。
祖母はその後も元気です。
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良いお話でした!
おじちゃんカワイイ
怖くないけど、すごく良い話。
お祖母様が向こうでお祖父様と会うのはまだ先ってことですねー!
おばあちゃん元気になって良かった!おじいちゃんも喜んでるはず。
中川雄二って誰だよ?
↑おじいちゃんの名前でしょ