「幽霊橋」の人々

１週間前の週末の事です。
最近、健康のためにスーパーへ歩いて行くようにしています。

近所ではなく徒歩１５分程度のスーパーまで足を延ばすようにしているのですが、そのスーパーへ行く際には「幽霊橋」という橋を渡らなければいけません。
本当の名前はあるのですが、この地域に住む人はみんなこう呼んでいます。

名前こそ怖いですが、まだ新しく綺麗な橋です。事故や事件があったと聞いたことは一度もありません。
しかし、なぜかそういう名前がつけられているのです。

その週末は天気も良く、いつものように午前１１時に家を出て１時間で買い物は終了。

帰宅中に例の橋にさしかかりました。前方には黒い服のおじさんがいるのが見えました。
その他にはランニングをしている若い男性、よちとよちと歩く赤ちゃんを後ろから見ているお母さん、犬を散歩させている年配の女性が見えました。

橋は少しだけアーチ状になっています。私は買った荷物多く、橋のゆるやかな登り坂を、自分の足元を見ながら歩いていました。
そしてスッと顔を上げた途端、違和感を覚えたのです。数秒前に見た人たちが誰一人としていないのです。

足元を見て歩いていたのは、ほんの５、６秒。その間にあれだけいた人たちがいなくなるのは不気味な感じさえして、その場に思わず立ち止まりました。
一体何が起こったのかわかりません。

さらに歩き続け、とうとう橋を渡り切ってしまい、後ろを振り返るとさっき見た黒い服のおじさんが遠くに見えました。

すれ違った覚えはありません。本当に夢なのではないかと思うくらい不気味な体験でした。