シミと声
投稿者:pams (61)
中学生になった私は、放送部として部活を頑張っていました。
部員は1年生から3年生まで男女共に10名くらいで、毎日発声練習や原稿読みなどをして過ごしていました。
そうして1年が過ぎ2年が過ぎ、先輩方は卒業して行きいつの間にか3年生になった私たち4人のみ。
そしてこの4人で頑張ろうという時に1名退部。結局3人で活動していくことに。
そんな時、放送部の部室でいつものように話をしていると、部員の一人が私の後ろの壁をじっと見ているので「何を見てるの?」と聞くと「あんなシミあったっけ?」と指をさします。
それは有孔ボードの壁があり、日程や注意書き、部室を使う時のマナーの紙が貼られている壁です。
指を差した先にはこげ茶色のクレヨンのラクガキのようなシミがあり、確かに今まで気づかなかったなと感じました。
それから1週間経ち、2週間経ち…私たち3人はそのシミの色がだんだんと色が黒くなり大きくなっている事に気付いていましたが、誰も言いませんでした。
そんなある日、部室に着いてドアを開こうとした瞬間、バッと勢いよく部員が慌てて出て来たのでどうしたのか尋ねると「壁のシミから変な声がする」と言うのです。
しかし、有孔ボードの後ろは普通のコンクリートの壁。その部員は壁をじっと見ていて最初にシミに気付いた子です。
詳しく聞くと、「あんなシミあったっけ?」と言ったあの時も本当は変なうめき声が聞こえていたと言っていました。
自分にだけ聞こえているのが怖くて言えなかったという事でした。
その後、顧問の先生に伝えましたが取り合ってもらえず、部室に近づくことはなくなり私たちの代で放送部は廃部となりました。
不思議な話ですね