誰もが持っている闇
投稿者:pams (61)
朝、目覚めてカーテンを開けトイレを済ませて歯を磨く。服を着替え、朝食を作っている間に洗濯機のスイッチを入れて温かい朝食を食べる。食器を洗い終え植物に水をあげて布団を干していると洗濯機が私を呼ぶ。ここで時計に目をやると8時半ー。
これは若い時から2年に一度くらいのペースで見る夢の内容です。何の変哲もない夢なのですが、この夢を見た後に決まって金縛りにあうのです。
今年の夏、またこの夢を見ていた私は「あ、懐かしい。」と感じていました。
そして案の定起きる頃にグッと体が硬直し、息が出来ずその苦しさにもがいていました。通常なら2.3分の金縛りなのですがこの日は違ったのです。
突然、上からバサッと大量の長い髪の毛が落ちてきて体を埋め尽くしました。真っ黒い髪の中から血の気の無い細い腕が4本伸び、それは関節が折れているのではないかと思うほど、かくかくした奇妙な形の腕です。
いつもと違う事が起きたせいで心臓がドキドキしてその鼓動が脳内に大きく響きます。固まった体はまだ動かず、息をするのもままならずどうしていいのか分かりません。
必死にもがいている時でした、髪の束の奥から片目が見えたのです。瞬きもせずじっとこちらを見ています。睨みつけるというよりはとても不安そうにこちらを見るのです。成す術がなく私はギュッと目を瞑りました。
すると次第にシュルシュル…という音を立てて長い髪の毛がどこかへ消えていくような感じがしました。
そしてついに金縛りが解け、ようやく呼吸ができたのです。
気持ちが落ち着いた時、ふと「あの目、知ってる」と思いました。
その一か月後、気付いたのです。取引先の営業の男性の目だと。この男性はいつも大きな声で挨拶をしてくれ、自信に満ち溢れているように見えていましたが、彼と付き合いの長い人が「実はかなりの小心者なの。イレギュラーな事が起こるとすごく不安がってビクビクしている」と聞かされ驚きました。
なぜその人の片目が出てきたのかは未だに分かりませんが、人の恐怖、闇の部分が垣間見えたようでぞっとしました。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。