笑う女性
投稿者:pams (61)
私の父親が経験した出来事です。釣りが好きで父は休日によく川へ行く人でした。
ある日いつもの川へ行き早速釣りを始めると、向こう岸の草の束がガサガサっと揺れたのでクマだと思ったそうです。
人がまったくいない田舎なので人より動物に遭遇する方が怖くて、息をひそめ逃げる態勢を取りました。
すると、草の丈が高いので正体が何なのか分かりませんが草をかき分けて川と反対側へ行くのが見えました。人の匂いがしたので逃げたのだろうと思い一安心。
そのまま釣りを続けて1時間くらい経ったので場所を変えようとしたところ、数十メートル先にある古い橋に女性がいるのが見えました。髪が長くて背が高く、痩せていて着ていたノースリーブワンピースがぶかぶかだったと言います。
こんな山奥の田舎の川に女性が一人でいるのは逆に恐ろしく、何も持っておらず身一つだったので「自殺では」と思ったそう。その女性は父を見つけると小走りで近づいてきました。
先ほどクマだと思ったのはこの人だったのかと思い、怖くて体が固まり動かなかった父は釣り竿を持ったままその女性を凝視していました。どんどん近づいてきます。ようやくはっきりと顔が見えた時ぞっとしました。
目はカッと見開いた状態で口はニカッと笑っていたからです。釣り道具もすべて置いたまま父は走りに走り、駐車していた車に乗って家に戻ったそうです。一週間後、釣り仲間に付いてきてもらい恐る恐る行ってみると釣り道具はそのままあり、釣り竿のそばに石が6つ積み上げてあったと言います。
あの女性は何かを伝えたかったのかもしれません。
お父様方ご無事で何よりてす。