「ポッポー、ポッポー」
心臓が跳ね上がりました。
それはベッドを囲っているカーテンの向こうから聞こえてきました。
恐る恐るカーテンを開けます。
すぐに目に入りました。
病室の壁には夢で見ていた鳩時計が掛かっていました。
しばらく見つめた後、僕は少し笑ってしまいました。
きっと昏睡している間も、耳だけは周囲の音を拾っていたのでしょう。
そもそも実家に鳩時計なんて無いんです。
だんだん意識がはっきりしてきました。
ちょうどその時、看護師さんが病室へ入ってきました。
僕が壁を見ていたので、
「どうしました?」
と聞かれました。
僕は鳩時計を指さしました。
「夢の中で、ずっとあの時計が鳴ってたんですよ」
看護師さんは少し不思議そうな顔をしました。
「この病室、時計はおいてないですよ」
その瞬間僕はあの夢の中で感じていた不気味な感覚を思い出し始めていました。
スマホを手に取ります。
画面には日曜日と書かれていました。
それはそうです、事故にあった日曜日からちょうど二週間なのですから。
それよりも日付の方が気になります。
そこには、夢で何度も見た日付が表示されていました。
夢の中で、何度も、
何度も見た日付です。
僕はしばらく画面を見つめていました。
そのとき、背後で小さな木の扉が開く音がしました。
「ポッポー、ポッポー」
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