そのときだった。
何気なく、もう一度向かい側を見た。
――いた。
あの怪異だった。
数ヶ月前と何も変わっていない。
首が折れている。
腕も、脚も、おかしな方向に曲がっている。
身体は壊れているようなのに、ホームに立っている。
顔には生気がない。
そして――
周囲の人間は誰一人気づいていない。
心臓が飛び跳ねた。
「……嘘だろ」
一瞬だけ見た。
そして、すぐに目を逸らした。
絶対に目を合わせない。
そう決めた。
幸い、友人がこちらのホームへやって来た。
「ごめん、反対側だったわ」
「……うん」
僕はできるだけ普通に答えた。
「行こう」
友人と一緒に改札へ向かう。
階段を下り始める。
そのまま降りればいい。
それだけだった。
なのに――
なぜか気になった。
まだ、いるのだろうか。
僕は階段の途中で立ち止まった。
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