それを最初に見たのは、飲み会帰りの夜だった。
そこは僕の通勤ルートとは少し外れた駅で、
居酒屋の最寄駅だった。
電車を待つため、僕はホームに立っていた。
向かい側にも、同じように電車を待っている人たちがいる。
友人同士で話している人。
仕事帰りらしいサラリーマン。
いつもと変わらない光景だった。
何気なく向かいのホームを見た。
その瞬間、僕は息を止めた。
人が立っていた。
いや。
正確には、
「人のようなもの」が立っていた。
首が、明らかにおかしい。
本来なら真っ直ぐ前を向いているはずなのに、頭が横へ大きく傾いている。
まるで首の骨が折れているようだった。
腕もおかしかった。
片方の肘は、本来曲がらない方向へ折れ曲がっている。
手首も不自然に捻れている。
両足も、膝や足首があり得ない角度に曲がっている。
それなのに――
立っている。
どうやって立っているのか分からない。
身体の関節が全部壊れているようなのに、倒れない。
顔はこちらを向いていた。
生気がない。
血の気がないというより、
顔というものから表情だけを抜き取ったような顔。
目は、どこを見ているのか分からない。
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