一人で行きつけのバーにいた私は、たまたま隣に座った四十代前半くらいの女性と意気投合しました。
その人はかなり特徴的なハスキーボイスの持ち主で、不思議と話しやすく、気が付けばお互いにほろ酔いになるまで話し込んでいました。
しばらくは好きなお酒や音楽の話で盛り上がっていたのですが、いつの間にか話題は怖い話へ移っていました。
すると女性は、
「普段は中学校でスクールカウンセラーやってるんだけど、たまに口コミでそういう系の相談に乗ってるの」
「変な人来ちゃうから、看板出したりはしてないんだけどね(笑)」
と言いました。その言葉を聞いて、私はあの出来事を思い出しました。
「実は、ずっと謎のままになってることがあるんですよね。聞いてもらえますか?」
そう言って、あの出来事を話してみることにしました。
女性は時折うんうんと頷きながら、私が山頂で友人たちと別れたところから東京へ帰るまでの話を聞いてくれました。
そして話し終えると、こう言いました。
「ねえ、その”ものすごい夕焼け”見る前さ」
「ちょっと移動してない?」
その瞬間、全身に鳥肌が立ちました。
そして、
(そうだ、そうだった)
と思いました。
なぜ忘れていたのだろう。
なぜ警察にも誰にも話さなかったのだろう。
なぜ今まで思い出せなかったのだろう。
私はただ呆然としていました。
あの時、友人たちと別れたあと、私は山頂の岩に座っていました。
そして耳が詰まってきたような感覚を覚え、何の気なく目の前にあった石へ移動したのです。
その石は、ちょうど洗面器をひっくり返したような形と大きさをしていました。
私はほんの数歩だけ歩いてそこへ座り、目を閉じて耳抜きをしました。
そして目を開けると、あの異様な夕焼けが広がっていたのです。
あまりのことに言葉も出ず、ただ頷きながら女性の顔を見ていると、彼女は笑いながら言いました。























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