「来月の8月で18歳です」
「病気、、、
その病気ってひどいのか」
女は黙ってうなずいた後、続ける。
「中学2年のときに頭の中に腫瘍が見つかって、それから入退院を繰り返し何度か手術もしたんですけど、、、
今年の春に自宅で倒れて病院に運ばれてからは病状はどんどん悪くなって、、、
今は、、、
娘はかつて熱心に読んでいた漫画の影響で、ホストさんに対してすごく憧れを抱いていたんです。
私も出来るだけ娘の希望を叶えてやりたかった、、、
そして店から家に帰った時の娘のあの、頬を少し紅潮させうっとりとした顔。
あんな娘の顔を見たのは初めてでした。
そしてつい最近、ベッドに横になり病室の窓から外を眺めながらこう言ったんです。
『ねえ母さん、私また綺羅さんに会えるかな?』
あなたにとっては、忘れてしまうようなお客だったかもしれない。
でも娘にとっては、、娘にとっては」
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それから綺羅は女を自分のバイクの後ろに乗せると、彼女の娘が入院しているという病院に走った。
病室に入った綺羅の視界に入ってきたのは、窓際の白いベッドに横たわる人の姿。
ただその人の顔には白い布地を被せられていた。
ベッドの傍らに立つ中年男性が悲しげな顔で綺羅と女を交互に見ると、ゆっくり左右に首を振る。
女はよろめきながらベッドの傍らまで歩き、倒れこむようにベッドに上半身を預けた。
そして布団の上で組まれた両手の片方を手に取り愛おしげに頬に擦り付けると、喉の奥から絞り出すように嗚咽する。
幾筋もの涙が彼女の頬をつたい、顎先から落ちていった。
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