梨花さんが九州にある父親の実家に行ったとき体験した話である。
空港に着いたのは22時頃。空港から実家まで車で1時間ほどかかるので、静かな車内の雰囲気と移動の疲れもあり後部座席でうとうとしていた。
ふと目が覚める。車は走り続けている。まだ眠れるだろうと目を閉じかけたとき、左を見ると窓の外に白い足が立っているのが見えた。
-走ってるのになんで?
走っている車から並走して見え続ける白い足。
その姿に思わず「うわっ」と声をあげてしまった。
「お姉ちゃんどうしたの?」
右側に座っていた妹に声をかけられた。
「いや‥」
口ごもりながらも説明をしようとしたのだが、一瞬のできごとをなんと説明したらいいのかわからない。視線を妹から窓に戻すと、その白い足は見えなくなっていた。
ふぅーと大きく息を吐く。なんとなく後ろを見ると、ガラス越しにその姿を見てしまったのだ。
「男か女かわからなかったんです。顔がぐちゃっとなった人が窓ガラスに張り付いてて」
とある城跡付近を通ったときのできごとだった。その城が落城した理由は火災。何人もの人が池に身を投げたのだという。
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