それは「J」店内のボックス席。
やがて映像は動き始める。
━そうだ、思い出したぞ。
あの日俺は太客にドタキャンされた後、苛ついた気持ちそのままで、あの変な格好をした女の子の隣に座ったんだ。
薄いピンクのニット帽に、ちょっと大きめのピンクのパジャマ。
その時俺は、苛立ちもあってちょっといじってやった。
「なんだよ、その格好?おもろww」
そしたら女の子は嬉しそうに笑いながらニット帽を脱ぐ。
ちょっと驚いた。
スキンヘッドだった。
頭部に青い静脈が浮き、異常なほど色白で痩せ細っている。
その時俺は確かこう言った。
「一休さんみたいで可愛いな」
彼女はまた嬉しそうに笑った。
それから俺たちは少しの間話した。
他愛もないような話だったと思う。
だからほとんど憶えてない。
でも彼女が言った最後の言葉、、、
それだけは何故かはっきり憶えている。
「お兄さん私ね、いつかお兄さんみたいな彼氏が出来たら、彼のバイクの後ろに跨がって海に行くのが夢なんだ」
綺羅は舌打ちしようとして、出来なかった。
胸の奥に、小さな棘のような痛みが刺さっていたからだ。
※※※※※※※※※※
彼は我に返ると、正面に立つ女の顔を見据え口を開いた。
「娘さんって、何歳なんだ?」
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