恐る恐る向かいのコンビニに視線をやった。
━いない!
ほっとするとベンツに乗り込む。
マンションに着くと、エントランスに降り立った。
車が走り去った後ふとマンションの入口ドアに視線をやったとたん、ゾクリと背筋が凍りつく。
あの女が立っている!
次の瞬間、とうとう綺羅の怒りは一気に頂点に達する。
彼は彼女の正面まで歩き進むと、とうとう大声をだした。
「もういい加減にしてくれ!」
だが女は一切怯むことなく、また懇願する。
「お願いします。
娘のあずさに会ってください」
「娘?
あずさというのは、あんたの娘なのか?」
女の意外な言葉に彼は思わず真顔で返す。
「はい。
娘は病気なんです」
「ちょっと待てよ。だから俺はあんたの娘なんて知らないんだ」
「いえ間違いなく去年の夏、私は娘を車に乗せてあなたの店に連れていきました。
そしたらあなたが席に付いてくれた。
その時の娘の格好が、ピンクのパジャマにピンクのニット帽姿だったんです」
※※※※※※※※※※
「ピンクのパジャマにピンクのニット帽」
綺羅は独り言のように女の言葉を自ら繰り返した。
そして正に次の瞬間だった。
フッと彼の脳裏にある映像が浮かぶ。
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