[副題: 続・積もり積もった痛みの果てに]
――ファントムペインは幻肢痛ともいう。怪我や病気で手足を喪った人が、無いはずの手足の痛みを感じることだ――
俺は小中学校の頃に、酷いいじめを受けていた。「エイリアン」「バイキン製造機」「デブだから、折り紙の鶴も作れない」といった言葉の暴力は日常茶飯事だった。また病欠中に道具箱に「〇〇(俺)のバカ」と落書きをされたり、下り坂で体の大きな上級生とうっかりぶつかったり折に、横っ面を殴られたりした。しかも、その乱暴な上級生には「うわっ、こいつ汚ねえんだった」と嗤われた。その現場をたまたま目撃した同級生の一人には、「お前、昨日、△△(上記のいやな上級生)に殴られてたなあ」とからかわれた。
いじめっ子たちが学校内でも同じ学区内でも俺の悪口を言いふらしやがったから、中学に上がる前には俺は知らない子どもにまで氏名を覚えられ、モラルのない悪たれとして有名になっていた。
中学に入った後のことだ。
ある日、俺が自転車ごとコケて左腕をひどく傷つけても、クラスの誰もが見て見ぬフリをした。その時、俺のぐるぐる巻きの包帯には血が滲んでいたのに。医師には、
「傷口が関節に近いので、縫うことができません。強いテープで傷口が開かないように留めておきましょう。」
と、言われるぐらいの深手だった。
また、俺がバスケの授業中に右手の親指の付け根が真っ赤に腫れ上がるほどの怪我をしても、そのまま試合をやらされた。その時に俺はCという子に、
「〇〇くん、もっと動いて!そんなの痛くないわ!」
と、怒鳴られた。
その日の夕方、俺は病院で、右手の親指の下を剥離骨折していると診断された。この時も俺は右手に包帯を巻いていたが、クラスメイト全員が知らんぷりをしやがった。
Cがバスケの授業中に俺に声を荒げたことは多くの子が目撃しているはずなのに、やつは俺に謝ることなどしなかった。もしかすると、Cは俺に対して後ろめたい気持ちになって、どんな言葉をかけたらいいか分からなかったのかもしれない。とは言っても、Cが俺に謝意を示したりしたら、C自身がクラスで白眼視されるのは、子どもだって分かることだ。よって、わざと「怒鳴ってなんかいない」ことにしようと考えたのだろう。
駅構内で滑って転んでも、誰にも声をかけてもらえないことは、冷たいとも何とも思わない。けれども、毎日長時間一緒に過ごす人が大怪我をしているのに一言も声をかけないのは、立派な無視であり、いじめであると思う。
部活の雰囲気は悪くなかったが、顧問の先生は強豪校に勝つことしか考えていないようだった。夏の大会の前に2回も怪我をした俺が不注意だったのかもしれないが、この先生までが冷たかった。こいつは職員室で包帯をまいている俺に冷淡な眼差しをむけ、「また怪我したの」と、ため息までつきやがった。
結局、俺の傷ついた腕や手を気づかってくれたのは、担任の数学の先生と別のクラスにいた親友のOさんだけだった。
























花蘇芳(沈丁花)です。時間を戻すことなどできません。叩いて埃が出ない人なんかいません。ここで綺麗な御託を並べてばかりいた俺だって当てはまりますが、これからは真っ当に生きるしかありません。