【副題:本当に恐ろしいのは(第四章)】
※身バレを防ぐため、多少フェイクを入れました。
「人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、そして”まさか”という坂だ」
――五代目三遊亭円楽
これは俺が小学校6年生の夏休みの終わり頃に、本当に起きた話だ。
俺は今でも毎晩フルカラーの夢を見る。ある日の夜、俺は夕暮れ時にとある下り坂を自転車で走っている時に人と接触し、自分もその衝撃で吹っ飛ぶ夢を見た。あまりにも怖い夢だったので、その後何日かビクビクして過ごした。しかし、自転車で出かけても何も起こらなかったので、【つい】油断をしてしまったのだ。
俺は夕方まで習い事の教室にいたが、19時から始まる塾に通うために自転車で帰路を急いでいた。時刻は18時前だったと思う。青天井はすでに黄ぐすみ、お日さまは黄金色にまばゆく輝きながら、黒灰色の雲に隠れようとしていた。家路を急ぐ自動車も、点灯するものが増えてくる頃だ。
習い事の教室を出たときは、まだ辺りは明るかった。
(今日はまだライトは付けなくてもいいか)
と、思ったのが痛恨のミスだった。いつもは重いペダルをこぐのが辛くてもきちんと点灯していたのに、【その日に限って】自転車の灯りを付けなかったのだ。決してスマホ運転ではない。俺だって名誉があるから補記しておくが、当時はまだ携帯電話やパソコンなど一般家庭に普及していない時代である。
急な下り坂を降りきったところには、信号のないT字路がある。俺の右手側から、50歳代ぐらいの女性が道路を横断してくる。俺は減速するのが間に合わず、その歩行者の女性と接触した。
――ドガッッシャアアアアーン――
そのご婦人の痛ましい叫びか、俺自身の悲鳴か、それとも平和な日常に大きな亀裂が入る音だったのか。何か強靭なものを破壊するような、凄まじい音が聞こえた。その瞬間、突然俺はふわりと空中に押し上げられた。
(空を舞うって、こういう感覚なんだ――俺、このまま死ぬのかな?)
と思うや否や、俺は意識を失いかけた。そして、ドォサァッという音とともに、アスファルトの地面に勢いよく叩きつけられた。























花蘇芳(沈丁花)です。うちの子の友達のお父さんは卒園式の折に、「パパはよく信号無視をするので怖いです。危ない運転をしないで下さい」とマイクを持ったお嬢さんに言われ、他の保護者や子どもさん達に大笑いされたそうです。
花蘇芳(沈丁花)です。俺が中学生の頃の話ですが、昼間に自転車で青信号の横断歩道を渡ろうとしたら、無理に左折してきた自動車とすんでのところでぶつかりそうになりました。見通しの良い交差点でした。俺が慌てて止まったから何もなかったのですが、その危険運転の自動車はさっさと走り去って行きました。
花蘇芳(沈丁花)です。一部、加筆をしました。