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ヒトコワ

沈丁花さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

その後どうしていたんだい
長編 2026/02/07 21:38 184view

※食事中の閲覧注意(特にペットがいる方や、猫好きの方)

 この話はここ4~5年の間に、私の実家の辺りで本当にあった出来事を元にしています。身バレを防ぐために、少しフェイクが入っています。

 

 私の実家は中部地方にあるが、その近くには猫好きのご夫婦がお住まいになっている。その旦那さんの方をここではN夫さんとしよう。

 

 N夫さんは80歳を超えているが大変元気で、いつも畑仕事や庭仕事に精を出している。彼のお庭はいつ見ても隅々までよく手入れされており、色とりどりの花がいつも美しく咲いている。
 そんな彼はご近所でも評判の働き者であるが、一つ困った趣味がある。それは、猫をいつも数匹飼うことだ。

 

 

 N夫さんの猫は少ない時で3匹、多い時で6匹いた。彼のお家の玄関のすぐ近くに、毛布を入れた大きな段ボール箱が置かれているので、猫たちは一応ペットである。しかし、N夫さんは決して良い飼い主とはいえない。彼は猫たちに【餓え死にしない程度のわずかな食事しか与えず】、【動物病院にも連れていかない】。おまけに、昼間は猫たちを【放し飼いにしている】。よって、N夫さんの猫たちはみな痩せこけており、気づいた時にはたくさん子猫を産んでいる。よその野良猫との喧嘩で厄介な病気をもらったり、他の害獣に負傷させられたりするものも多かったが、問題はそれだけではなかった。

 N夫さんが好きなのは成猫ではなく、子猫なのだ。

 「猫は好きなんですが、ようけおりすぎてもう飼いきれんくなりましてな。」

と、N夫さんは近所にいつも言い訳をしていた。そして、立派に成長したが、飽きた猫たちを【保健所に連れて行くのだ】――それも何回もである!その後、生き物を飼うむずかしさを忘れた頃に、また別の子猫たちをどこからか貰ってくるのだ。N夫さんが数年おきに保健所に猫たちを持ちこむので、流石に職員さんにこっぴどく叱られたらしく、ここ数年は白い親子猫3匹だけをペットにしていた。

 

 

 私の実家の前庭は、生け垣を挟んでN夫さんのお家の駐車場と隣接しているので、彼の白猫3匹が頻繁に侵入してきた。もちろん、うちの前庭でオシッコやウンチをする為である!

そんなマナーの悪い赤の他人、いや、完全なよその猫でも、うちの両親は痩せすぎていて可哀想だと言って餌付けを始めた。母さん猫も姉妹猫もいつも薄汚れていたが、3匹そろって豊かな長い白毛に恵まれており、なかなかの美猫だった。姉妹猫たちはたいへん仲が良く、じゃれ合う様子が可愛くて、私も彼らがちょっと好きだった。

 

 

 その翌年の5月に帰省した折に、その母猫と姉猫が命を落としたと聞いた。運悪く、野山の害獣に襲われたというのだ!――特にあの姉猫の方はまだ3歳、人間年齢でいうと、30歳にもならぬ若さだった!妹猫はたったひとり生き残る羽目になり、とても心細く哀しかったろうが、すでに子猫を5匹産んでいた。もしかすると、そのうちの2匹は姉猫の子だったかもしれないが。

 とにかく、母となった妹猫は愛くるしい5匹の子ども達を連れて、相も変わらず私の実家にゴハンを食べに来ていた。子猫たちのうち、やはり雪白の豊かな毛並みでライトグレーの靴下を履いたような足の子が一番母さん猫に似ていた。

 

 
 

 だが、そのまた翌年の夏にとんでもないことが起こった。

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コメント(1)
  • 沈丁花です。私の趣味の一つは猫さがしです。短編の執筆に行き詰まってしまい、猫のことを考えていたら、長編が出来てしまいました。

    2026/02/07/22:10

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