…だが結局、この事件は極秘にできなかった。発達し尽くした時代のなかで秘密はもう秘密でなくなっていた、個人天文家の観測ログ、民間企業の航行データ、AIが弾き出した“矛盾” 技術は嘘をつかない、誰かがこの一件を流したのだ。世間へ大衆へ、そうして世界は混沌となった、世論は2つに分裂し、市場に生活に世界に宗教が介入した。かつて否定したはずのものが蘇ったのだ。分裂していく社会で全員に共通して言えるのは、誰も“あれ”を理解しようとしていない、皆、自分の理屈に当てはめてるだけだ。 最終的に時の流れや権力者達の隠蔽、一般人には決してわからない力によってこの一件は人々の記憶から薄まっていった、だが
化物は待ってはくれない
宇宙船は、ただ動いていた。昨日と同じ様に、だが、あの謎の者は、すでにそこにはいなかった。
人類の心臓といわれる惑星。その海洋でその水面に、何かが映っている、映っていた。それは、こちらを覗いているようにも、ただ揺れているだけのようにも見えた。誰も、それ以上を確認しようとはしなかった。
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