話は戻り、その後所有者が警察へと連絡。すぐに駆け付けた警察官に三人はそのときあったことを説明した。とはいえもう時刻は18時を回っており、すっかり日が暮れたこともあり、詳しい事情は明日以降ということでパトカーで各自の家に送ってもらったそうだ。
「で、親とか先生とか警察にこのことを話すなって言われてさ」
「へぇ。言いつけ守る程、お前ら真面目だったっけ?(笑)」
「別にそんなんじゃねぇよ。ただな・・・」
「ただ・・・?」
「持ち主の爺さんが凄い剣幕で、絶対に口外するな!ってイキリ散らしたんだよな」
「そうそう、発狂しそうな勢いでさ」
「俺ら、実はその爺さんが殺したんじゃないかって話してたんだよな」
3人の内輪話を遮って質問した。
「それじゃ、その爺さんとやら疑われたんじゃないの?」
「それがさ。その爺さん、そのあとすぐに死んだんだって」
「マジ?」
「マジ。うちの爺さんから聞いたから間違いないと思うよ。だからなんで小屋に首つり死体があったかとか、そういうのわからなかったらしい」
「気味悪いなそれ」
顛末を聞いた俺はその件について興味を持ったものの、当事者である3人もそれ以上は何もわからなかったという。
それから月日が流れ、20年後のこと。
俺はしばし地元を離れていたが結婚を機に戻ることになった。結婚ついでに家探しをしているとき、不動産情報サイトにある土地が目についた。例の小屋があった土地が売りに出されていたのだ。詳細を見ると「瑕疵物件」と表記されていたから間違いない。しかも値段はそこそこで、こんな土地誰が買うんだろうと思っていたらあっという間に売れた。
売れたあとは立派な平屋が建った。注文住宅らしいお洒落な平屋だったが、わずか3か月程で火事に合い全焼している。
丁度その頃、同窓会が催されたので俺は参加した。久々に会う同級生は変わっていないヤツと老けたヤツとで二分されていた。かくいう俺はあまり変わっていないと思いたい(笑)
それは置いておいて、懐かしい顔ぶれと話をしているとIの姿がないことに気づいた。Sの姿も見えないことから、遅れてくるものだと思っていた。地元を離れていた期間、俺は地元の連中とはほとんど付き合いがなかった。だから仲のよかったIについても全くといっていい程情報がない。そこにOが俺を見つけ、話しかけてきた。
「久しぶり、元気しているか?」
「そっちは?」
Oは隣町で小学校の教師をしているという。俺はしがない会社員をやっていることを伝え、しばし談笑した。そのなかでIとSがいないことに触れたところ、Oは2人につて話をはぐらかした。いまいち要領を得なかったのだが、付き合いがなくなったのか?と俺は勘ぐっていた。
それから2次会に行ったとき、改めてOに2人について訊いた。Oは話しづらそうに口を開いた。
「お前、本当に知らないのか?」
「俺、最近戻ってきたんだぜ。全然知らないよ」
「Iがやばくなったのも知らない?」
Iは10年前に鬱病になり、以来引き篭もり生活をしているという。郵便局員になったIは真面目に仕事していたそうだが、急に職場にこなくなったという。
「Iなんだけど、正直なところ鬱病というより頭おかしくなったっぽい」
Oの話では、例の小屋があったあたりの担当になってからおかしくなったそうだ。奇声をあげながら配達をしているのを何度も目撃され、上から注意されたものの収まることはなかった。そして自宅で首を吊っているのを発見されたが、幸い発見が早かったことから一命は取り留めたが、以来まともに話が出来なくなったそうだ。

























この話に出てくるoの母です
たたり?コワー