お昼休憩してから午後に探索を再開しようと考えていた・・・のだが、
昨夜平原リリにたたき起こされたのが効いてきたのか、急に睡魔が襲ってきた。
「少しだけ・・・少しだけ昼寝をしよう・・・」
リビングのソファに体を預け、ボクはうたた寝を始めた。そしてまた夢を見た。
ボクはお婆さんと口喧嘩をしているようだった。
お婆さんは恐らくマリーさんだ。歳をとっても面影がある。
ボクももう年老いており、手もしわしわだ。体も重い。
が、マリーさんとの口げんかに負けたのか、杖を突きながら外に出た。
悔しい気持ちが伝わってくる。そのまま海まで歩いて、潮風に当たっている。
よくわからないが、自分はどうやら海軍か海兵隊の軍人だったようで海を見ながら戦争の事を考えていた。つらい経験をしたようだった。
勲章を授与されるシーンが見える・・・とても誇らしい。
・・・これは、屋根裏部屋で見つけたあの星形の勲章だ。
そうか、勲章はマリーさんのアクセサリーではなく、軍隊生活をしていた自分がもらった本物の勲章だったんだ・・・。
しばらくそうしているうちに落ち着いたのか、家に向かって歩き始めた。
玄関に着き、ドアの前に立つがなかなか家に入れない。マリーさんに合わせる顔がないという事だろうか。ボクは家の横に回り、塀と壁との間の細い隙間を通って裏庭の方へ回った。
今は柵がしてあって入ることは難しいが、この時は裏庭に回り込めたようだ。
ボクは家の裏手にある配電盤を開け、そこのスイッチを上に上げた。
すると、裏庭の隅にある鉄板がゆっくりと開き、地下への入り口が開いた。
まさかこんなところに・・・。
ボクはドキドキしながら夢の続きを見ている。
地下への入り口が開くと同時にラダーが伸びてきた。階段ではなく、垂直式の梯子だ。
まるで潜水艦にでも乗り込むみたいに、ボクはここを降りるつもりのようだ。
だが危険ではないだろうか。ボクはもう年寄りだ。こんなところを降りられるのか?
と思ったが、ラダーを降りるのに邪魔な杖をポイと地下に投げ込んで、ボクはゆっくりと降り始めた。・・・が、とても嫌な予感がする。心臓の鼓動が早くなる。
「はっ!!」としてボクは飛び起きた。
昨晩から見ている夢は、間違いなくマリーさんの旦那さんの記憶に違いない。
なぜボクにそんなものを見せる?
・・・いや、今はそれどころではない。裏庭だ。急ごう。
そこには、夢で見たのと同じ配電盤があった。
開けるとそこにはスイッチがあり、下がっている。























kanaです。
この作品は2022年の春頃に書いたマリーさんシリーズの4編をまとめて、加筆修正してまとめた完全版として書き上げたものです。長編18ページとなりましたが、面白く読めると思いますので、ぜひお読みください。後半に出てくるニンニンこと、除霊師・忍足 忍(オシダリ シノブ)は、朽屋瑠子シリーズの「赤騎士事件」にも朽屋の同僚として登場する除霊師です。スピンオフ参加です。お楽しみください。
読んでいる途中で感情移入をしたようで、涙が止まりませんでした。
良い話や
すごい感動しました?
最高です!
※勲章授与のシーンで脱字がありましたので修正しました。
kanaです。
劇中歌として『ホームにて』と『時はながれて』をマリーさんが歌っていますので、
よろしければそれを聞きながら読んでいただくと、臨場感も湧くと思います。
ちなみに、検索をかけると『時はながれて』と同名のタイトルの楽曲を複数の方が歌われているようで、もしかしたら違う曲を聴く可能性もありますが(笑)、マリーさんが歌っているのはあくまでも「某有名女性フォークシンガー」が歌われている曲です。失恋の歌が多い方ですよね。
では、お楽しみください。
↑↑感動したというコメントをいただいて大変ありがたいです。あと、怖くないのにこわいねボタン押してくださる方、ありがとうございます。
みなさんはどのシーンでほろりと来ましたか?
怖いの苦手な方も、ぜひお楽しみください。
さすがです。
本を買ってみたい
ダメだ、会社の休み時間に読もうとしたけど、読んだら会社で泣きそうになった。これは帰ってからじっくり読ませてもらいます。あぶない
とてもいい話で感動しました。これからもがんばってください。
感動した
感動した。
素晴らしい話しで読ませて頂きました。ありがとうございます
感動
kanaです。皆様コメントありがとうございます。最近Youtubeでも朗読してくれる方が複数おり、大変感謝しています。だってこんなに長いのに。一度朗読したら1時間はかかると思う。自分で朗読すればわかるけど、これってすごい労力ですよね。ありがたいです。
そして正直言うと、このマリーさんのお話は自分的には集大成な気がするので、これを書けたらもう怪談は引退してもいいかな~ぐらいに思ってた作品なので、読まれるとなおさらうれしいですね。
後、どこかのコメントで「テレビドラマ化してほしい」なんてお言葉もいただきました。
それ、できたらスゴイですよねぇ~。夢です。奇々怪々さんの運営でテレビ局にかけあってくれないかなぁ~。テレビ番組で「奇々怪々」、いいよねぇ~。・・・舞台でもいいなぁ~どこかにこれやりたい劇団はいませんか~~?
幽霊めっちゃいいやつ」