ツイてる
投稿者:たち (33)
チッ
と聞こえた。先程とは逆の方向に進んだ。そうすれば、いずれあの3人に合流できると思ったからだ。
しかし、いつまで経っても3人は姿を現れなかった。声も聞こえない。
困惑しながらも走り続けていると、たまたまタクシーが通りかかったので乗車し帰宅した。
タクシーの車中で私は経験したことのない恐怖でまだ体が震えていた。
自宅に到着し、少し落ち着きを取り戻してからすぐにあの3人に連絡しようと思いスマホを取り出した。
しかし、いくら電話をかけても出ない。
LINEを送っても既読にならない。
何度も3人に電話したが繋がらない。
どうしようか考えているうちに、自宅にいる安心感からか寝落ちしてしまった。
翌日、目を覚ましスマホを確認するがLINEは既読されていなかった。電話をかけるが相変わらず繋がらない。
高校時代の友人に、3人と仲のいい人を教えてもらおうと思って連絡しまくった。
そして、3人と同じクラスの奴までたどり着いたので3人のことを探してくれるようお願いしたら、
「あの3人組ね。いつも一緒にいたな…だけど、数年前に事故で3人共亡くなってるはずだよ」
「は?亡くなってる?昨日、同窓会に参加してなかった?」
「いやいや、いるわけないでょ。いたら、それは幽霊だな。」
私は電話を切り、しばらくは何も考えられなかった。
その後、あの工場で何があったのか、工場の近くで同級生3人が亡くなった事故のこと、色々調べようと思ったがやめた。
それから数年が経ち、あの出来事のことを忘れかけてた頃のこと。
当時の彼女と一緒に紅葉を見ながら神社巡りをしていると、
「あなた…危なかったですね。無事でよかった。ツイてましたね。」
と声をかけられました。
彼女は何のことかわかっていない様子でしたが、私は守護霊に感謝をした。
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