鳴り続ける、サイレン
投稿者:たち (17)
上京し、知り合った友人がいます。
なかなか周りに馴染めずに過ごしていました。
そんな時、ひょんなことがきっかけで知り合い、意気投合。
お互い、田舎育ちという共通点があり田舎あるあるで盛り上がりました。
そんなある日、お盆が近くなってきたので何気なく、帰省しないのか聞いてみました。
それまで、ニコニコしながら話をしてた友人の表情が急変しました。
そして、一言、「しないよ。」とだけ答えてきました。
思っていた反応とあまりに違いすぎて一瞬、真顔になってしまいました。
私は、何か悪いことでも聞いたのかと思い、
「そうなんだ。」とだけ答えました。
気まずい空気が流れたので、話題を変えようとした私は田舎あるあるでも聞こうかと思い、お祭りや夏の行事のことで話を振りました。
「夏の行事って何かないの?お祭りとかさ。」
と言いました。
友人は、「夏の行事ね…まぁ、普通のお祭りとかはあるけど特別なことはないかな。」と答えてくれました。
その後、何気ない会話が続きました。
私は、お盆に帰省しないのかと聞いた時の反応がどうも引っかかり、思い切って聞いてみることにしました。
「さっきお盆に帰省しないか聞いた時、微妙な反応だったよね?なんか悪いことでも俺、聞いた?」と友人に聞きました。
友人は、目線を下に向け
「いや、実はさ、故郷のお盆で変な風習があるんだ。」と言いました。
「そうだったのか、どんな風習?」と私は何気なく聞くと、
「教えてもいいけど、気味悪いぞ。それでもいいのか?」と少し怖い顔でこちらを向いて言ってきました。
その表情に少し驚きましたが、どんな風習なのか知りたいという好奇心が勝ち、
「大丈夫。もしよければ教えて。」とお願いしました。
友人はどこか遠くを見るような表情でゆっくり話始めました。
「盆入りの時、各家にある防災無線や各地区に設置してあるスピーカーからサイレンが鳴って、お経が流れるんだよ。2、3分くらい。毎年、決まった日の決まった時間に。」
私は、少し不気味だなと率直に思いましたが黙って話を聞き続けました。
「お経が流れると、手を合わせる人や目を閉じる人など様々でその時だけはみんな防災無線に耳を傾けるんだ。」
私は「そうなんだ。確かに少し変わってるね。」
友人は、
「ああ、小さい頃から毎年だから慣れていて別に気にもしなかったんだけど…
故郷の友人Aが、あることに気付いたんだ。と俺に言ってきたんだ。」
少し目線を下げ、
電鉄富山駅で電波が混線して電車ホームに近くの葬儀場の読経が流れてしまったことがある
どこかのお寺で新盆を迎えた故人の供養に名前を呼びながらマイク使って上げてるお経が、役場の防災無線と混線してるんでは