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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

手の温もり
短編 2025/03/06 21:22 1,691view
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妻と小学生の娘がいる30代前半の私はこれまでいくつかの不思議な体験をしてきた。

初めて不思議な体験をしたのは高校生の時。
当時付き合っていた彼女と初めて、地元の花火大会に出かけた時のこと。

毎年開催される花火大会。
町の中心部には多くの方が訪れ、その日だけはとても賑やかなる。
屋台が多く出店している場所にはたくさんの人が訪れ、人気の屋台には長蛇の列ができていた。
私は当時付き合っていた彼女と自宅から歩いて向かうことにした。
徐々に中心部に近づくにつれ人混みが多くなっていき自然と彼女の手を握った。
手を繋いだまま、2人は縦列になり人混みの中を抜けていく。

「ねぇ、………」

彼女の前を歩いていた私は一瞬、聞き慣れた声がしたような気がしたので人混みを抜けたところで後ろを振り向いた。
すると、手を繋いでいたはずの彼女の姿がない。
私は後ろを振り向き、周辺を目で追い、呆然と立ち尽くした。
振り向く直前まで手を握っていた感触は確かにあった。
だが、彼女がいない。混乱した。
すると、まもなくして彼女がクレープを片手に姿を現した。
「クレープ、食べたくなって」
「呼んだのに行っちゃうんだもん。」

微かに聞こえた声は彼女の声だった。
では、私がずっと握っていた手は一体…

私は怖くなりすぐにでもその場を離れたかったが彼女を怖がらせてはいけないと思い、
「えー?呼んだ?全然聞こえなかったよ」
と何事もなかったかのように振る舞った。

次に不思議な体験をしたのは、私が社会人になり始めた頃。
同僚が開いてくれた飲み会の席で、知り合った女性と気が合い、その後何度か一緒に遊びに行き、お付き合いすることになった。
デートをしていた時に彼女と手を繋いで歩いていたが気がつくと私だけスタスタと歩いていくことが何度もありました。その都度自分の手を何度見たことか…

特に害があるわけではないので徐々に慣れていき、次第に気にならなくなっていきました。

その後、結婚し子供を授かり幸せな生活を送っていたある日のこと。
私は幼い子供を連れて公園に向かっていた。
公園が見えてくると、子供に手を引かれ走り出した。
私は中腰になりながら公園の方を見ながら走っていると、

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