ねねちゃん
投稿者:田沼縷縷 (3)
話が終わっても、誰も何もいいませんでした。いつもねねちゃんが語る話は心霊系の話です。
今日語ったのは聞くも無惨な殺人事件、皆恐ろしくて、わからなくて怖かったのです。
ねねちゃんは聞きました。
「ねぇねぇ、怖かった?」
いつもこう聞きます。
クラスのまとめ役のAと取り巻きのBは威張って怖くない、なんて言っていましたが足が震えているのが見えました。
「じゃあ、怖くなかった人は青屋根前で集合ね。」
そう言ってねねちゃんは帰っていってしまいました。
青屋根の家の前に行ってみると、いたのは制服のままのA、センスの悪い服を着たB、
パジャマの私、赤い服のねねちゃんの4人だけでした。
「じゃあ、入ろうか」
ニコニコとしながらそう言うねねちゃんを見て、僕は若干安心して、彼女が開けたドアに続きました。
ねねちゃんは見知った間取りかのように説明しながら探検しました。
ここはトイレ、こっちは寝室、こっちは浴室。
私の感想としては、少し古びただけのただの家だなぁ、と言ったところです。
AとBは恐ろしくて一言も発せなかったようです。
そして、そして辿りついたのが「ここがあの場所だよ。」
そこには、真っ赤に染まった3人の死体がありました。
気づけば息を切らして走り出し、玄関前まで逃げました。
AとBも続いて出てきました。
ねねちゃんは玄関から出ずにため息をつき、少し残念そうに手を振りました。
ふとあの死体を思い出します。3つの死体のうち、2つは白骨化していましたが。
もう一つはどうも先ほどまで生きていたかのようなようにみえました。
気のせいか、血もまだ出ていたように見えていました。
怖かったので、考えるのをやめました。
次の日からねねちゃんを見なくなりました。
先生に聞いても、そんな生徒、いたっけなぁ、と言うばかり。
あの日見た死体に関してはすぐに通報して青屋根の家は取り壊されました。
先日、久しぶりに同窓会をしたときに、なんとねねちゃんがいたのです。
おそろしくて逃げてしまいました。
それは、怖い思いをしたからと言うのもありますが、それ以上に。あの頃から少しも変わっていない姿なのでした。
今私は家から出ていません。扉の前を覗くとねねちゃんが立っているのです。
皆さん、怖い話をよく知っている友人には気を付けて。その存在自体が怖い話なのかもしれないのですから。
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