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妖怪・風習・伝奇

ねこじろうさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

火男【ひょっとこ】
長編 2024/10/01 07:05 3,312view

この人、何かの事件にでも巻き込まれてるのかな?

いや、だったら普通私などではなく警察に電話するはずだ。

そこで私はこう送った。

どうしたの?
誰かに捕まってるの?

すぐに返信は来た。

まるでしゃべっている言葉がそのまま文字になっているような感じで、あっという間に文字が作られていく。

……あのねこの間、放課後公園の砂場で遊んでいたら、いきなり後ろに着物着て裾を捲った変な顔のおじさんが立っていたんだ。

目がギョロギョロしてて口が変にネジ曲がってて。

変なのってクスクス笑ってたら、おじさん急に盆踊りみたいなの踊りだして、ボクそれじっと見てたんだけど、途中からなんだかすごく楽しくなってきて勝手に体が動きだして一緒に踊りだしたんだ。

そしたらいつの間にか辺りが真っ暗になってて、気が付いたらボクここにいたんだ。

ここは洞窟みたいで円形の石造りの広場みたいになってて、よく見ると真ん中辺りに人影があったから近づいてみると、ボクくらいの子供や若い女の人が数人もたれあってぐったりしてて、話しかけても黙ったままなんだ。

さらに奥には重なり合って倒れてる人も何人かいて半分腐りかけている人もいた。

ボク本当に怖くなって必死に何度も何度も助けを呼んだけど、ただ叫びが洞窟内を反響するだけで誰も来てくれなくて。

それでどこか逃げるところがないかって洞窟内を探索してると、岩壁に点々と四角い窓があったんだ。

覗いてみると公園とかスーパーの店内とか家の中とか、いろんな場所が見えるんだ。

いくつか順番に覗いていると部屋にいるお姉さんの姿が見えたから必死に叫んでいたら、やっと気付いてくれたんだ。

─え!?私の姿が見えてるって、どういうこと?
この子は今いったい、どこにいるの?

慌てて薄暗い部屋をぐるりと見渡してみる。

6帖ほどの小さな部屋は、
窓際に、私の寝ているシングルベッド。
その向かいの壁際には、クローゼット、鏡付きのヘアードレッサー、液晶テレビ。
そして中央には、小さな丸テーブル。

6/10
コメント(1)
  • 早速のコメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/01/12:47

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