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妖怪・風習・伝奇

ねこじろうさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

火男【ひょっとこ】
長編 2024/10/01 07:05 3,314view

人なんかがいれば、絶対に気付くはず。

すると再びメッセージ。

……ねぇ、ねぇ、お姉さん、そっち行っていい?

─え?

直ぐに「ダメだよ」と打つ。

するとすぐに「どうして?」と返ってきた。

震える指先で返信する。

だって私カズヤくんのこと、よく知らないし。

だがこのメッセージを最後に交信は途絶えた。

しばらく私は画面をにらんでいたが、いつまで経っても既読がつかない。

終いには枕元にスマホを置くと布団を被り目を瞑る。

しばらく何度となく寝返りを打ち、眠ろうと頑張るが、ダメだった。

どうしてもカズヤくんや「ひょっとこ」のことが気になって、眠れないのだ。

時刻はもう3時になろうとしていた。

とうとう私は眠るのを諦めると、電気を点けベッドを降りパーカーを羽織ると部屋を出た。

※※※※※※※※※※

マンションの敷地を出ると、人気のない歩道を歩きはじめた。

辺りはまだ薄暗く、灯火といえば街灯の光と頭上彼方で妖しく瞬く白い月だけだ。

しばらく歩いていると小さな公園が見えてきたから、立ち寄ってみる。

片隅にあるブランコに座りぼんやり前後していると、何処からだろう何か景気の良い演奏が聞こえてくる。

私は止まり、うつむき意識を耳に集中した。

それは幼い時、祭りの時に鳴っていた笛や太鼓の懐かしい音色。

ふと顔を上げると10メートルほど前方に、誰かがこちら向きに立っている。

7/10
コメント(1)
  • 早速のコメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/01/12:47

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