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妖怪・風習・伝奇

ねこじろうさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

火男【ひょっとこ】
長編 2024/10/01 07:05 6,818view
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そこにはオカメのような白い顔をした割烹着姿の老婆。

「元来あれは働き者でのう、竈(かまど)の火を竹筒で吹いてから勢いづける仕事を生業としていて、いつの頃か火男(ひょっとこ)と呼ばれるようになりおった。
あれは仕事のない暇な時は、ああして女子供と一緒に踊るのが何より好きでな、、
ほんに困ったもんじゃ」

老婆がそう言うと、嬉しそうに微笑んだ。

私は尋ねる。

「あのひょっとこの後ろに続く人たちは最後、どこに行くんですか?」

老婆は微かに微笑むと、

「暗い暗い闇の世界の片隅に連れていかれてな、最後は朽ち果てて骸(むくろ)になる」
と呟く。

それで私は「その闇の世界に連れていかれたら、もうこの世界には戻れないんですか?」と尋ねた。

オカメ顔の老婆はしばらく考えた風に踊る一団を眺めていたが、やがて「まあ代わりの者が現れたら、戻れるかもしれんのお」と言った後陽炎のようにユラユラ揺れながら霞んでいくと、やがてフッと消えた。

※※※※※※※※※※

そこで目が覚める。

再び私の視界には、前の長椅子と暗い車窓が飛び込んできた。

相変わらず正面の長椅子には誰も座っていない。

それからほっと一息つき、一つ大きなあくびをした時だ。

突然車内がチカチカ明滅を繰り返しだした。

━え!

焦りながら辺りを見回すと、車内は最後暗闇に包まれた。

4/10
コメント(1)
  • 早速のコメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/01/12:47

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