子供が大人になるまでは

パパは年寄りだけど子供っぽいから、夫婦の年の差の違和感は、幼い頃は感じなかった
学校に入って友達から、お爺ちゃんみたいなお父さんだねと言われて、初めて年の差30才の重さを実感したのだ

また近所に住んでいる明子さんは、ママの母、つまり私のお祖母ちゃんだとばかり思っていた
明子さんとママは、実の親子かと思うくらい仲が良い

2人の関係が、前妻と後妻だと知った時は本当に驚いた
変わった親族関係だが、両親も兄たちも明子さんも皆、私には良くしてくれる

パパも自分勝手なところやトンチンカンなところもあるが、私の事を凄く可愛がってくれるし、とにかく優しい
私は決して、パパを悪くは思っていない

だが兄たちがパパを嫌っていることは知っていた

ママも明子さんもパパに冷たい所があったし、大体 子供がいるのに離婚と再婚をしているのが、私にはよく分からなかった
何か事情があるんだなと思っていたが、知ることになったそれは、あまりにも斜め上すぎる事情だった

「ハー……」、
私は溜息をついた
パパは本当に死ぬの？私はどうしたら良いの？
取り敢えずこの件をどう思うか、他の関係者にも聞いてみることにした

※

まずはママに聞いてみた

「良彦さんが花音に話したことは、私も同じ部屋で聞いてたけど、間違いないわ。

私は蝶子さんの幽霊を見てないけど、明子さんたちが確かに見たと言ってるから、あの人たちが嘘をつく訳ないからきっと本当よ、怖いわね。
正直、良彦さんのことはもう好きではないの。
私は実の親からネグレストをされていたから、出会った頃は彼に父性を感じて、大好きだったけどね。
誰かに大切にされるなんてなかったから、あの頃は嬉しかったの。
でも私を騙して、不倫相手にしたのよ。
30才も年上のただのおっさんだ、と気がついたら気持ち悪くて、あなたがいなければとっくに別れてたわ。
でも良彦さんと結婚して良かったのは、あなたが生まれたことと、明子さんを含め あなたのお兄さんたちと会えたことね。
あの人たちは、本当にまともで良い人よ」

もう私も大人だから、遠慮なくママが思うことを教えてと言ったら、直球で本音が聞けた
ママが、もうパパを愛してないのはショックだが、それはパパのせいだから仕方がない