元気真っ盛りの小学生のころ、自分は毎年夏休みになると毎日虫取りに行っていた。いつも家の近くにある林で虫取りしていたので、例年通り今年も虫取り網とカゴを持ってそこに行った。
早速気に止まっている蝉を発見したので、慎重に近づいて、手掴みで蝉を捕った。
よく見ると中々に大きな蝉だったので、裏返したりして何度もその場で観察していた。
すると突然蝉が「ジジジジジジジ」と鳴きながら羽を暴れさせた。ずっと大人しかったので驚いて急いでカゴに入れようとすると、蝉の羽がもげ、中からウヨウヨと動く細長いナメクジみたいな生物が出てきた。
ビックリして手を離すと、動かなくなった蝉は下へ落ちる。恐る恐る蝉に顔を近づけると、ナメクジが蝉から出てきて蝉の全体をゆっくりと這っていた。そして穴を開けて蝉の中へ入っていく。自分は珍しい光景に何故か目を奪われ、ナメクジの様子を観察していた。
やがて蝉の死体は穴だらけになり、ナメクジは新たな穴を開けず、既に空いている穴を移動するようになった。
何十分経ったか分からないが、気がつくと辺りはもう暗くなっていた。昼に出かけたのにもう夕方になっていたのだ。
親に怒られるのを恐れて自分は急いで帰宅した。自分は、こんなに長いこと虫取りに行っていたのに虫カゴが空っぽだったことに、呑気に時間の無駄だったかなーとぼんやりと思った。
今思えば、どうしてあのナメクジに長い時間気を取られていたのだろう。
それ寄生虫じゃね((゚□゚;))!?