テレフォンアポインター麗奈の悪夢

ここ数日間連絡の取れなかったのを心配した彼氏の悠太はその日の晩、麗奈の大好きなスイーツを持って彼女のアパートを訪ねる。

彼は合鍵で玄関ドアを開くと、薄暗い廊下奥の部屋に向かって少しふざけ気味に声をかけた。

「お～い、生きてるか～？」

だが何の返事もない。

それで「上がるぞ」と一言言うと悠太は靴を脱いで廊下に上がる。

それから廊下を真っ直ぐ進むと「お～い、生きてるのか～」とまた呟きなから奥の部屋のドアをゆっくり開いていった。

そして室内の光景に視線をやる。

部屋のカーテンは全て閉じられ室内は薄暗かった。

真ん中にあるガラステーブル。

その横で麗奈がうつ伏せになって横たわり、ぐったりとなっている。

そしてその傍らを見た悠太はハッと息を飲んだ。

何だろう？

人型をした黒い影のような何かが４，５体正座し、倒れた彼女に顔を寄せている。

そしてさらに彼は恐る恐る目を凝らすと、　

「うわああ」

情けない叫び声を上げながら尻餅をついた。

麗奈の傍らに座る黒い影たちが一斉に悠太の方に顔を向けている。

その影を通してうっすら透けて見える顔は皆一様に青白く、

ある者は醜く崩れ、

ある者は鼻から下がなく、

またある者は眼球が半分飛び出していた。