飯酒盃(いさはい)という苗字の男
投稿者:ねこじろう (157)
長編
2024/04/01
14:55
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毒島がガード下にある馴染みの屋台を出た時、時刻は午後八時を過ぎようとしていた。
それから彼はJRローカル線の電車に乗ると長椅子に座り、徐に携帯から電話をする。
「ああ捜査一課の毒島だが、交通課に繋いでくれ」
しばらくすると携帯から若い男の声が聞こえてきた。
「はい、もしもし交通課の浅井です。
毒島さん、どうされました?」
「おう、遅くまでお疲れさん。
いや今日の午後にあったS町商店街の死亡事故なんだが、運転していた飯酒盃とかいう男、今はどうしてるんだ?」
「ああ、あれですね。
夫婦共々亡くなって酷い事故でしたね。
確か運転していた男は市内にある病院に運ばれたはずですよ」
「悪いが、その病院の名前を教えてくれ」
※※※※※※※※※※
翌朝、毒島は市内にある某自動車教習所の応接室にいた。
部屋の中央にある応援テーブルに座っている。
彼の正面には教習所の制服を着た男性が座っていた。
男性は毒島から受け取った一枚の写真をまざまざと見ながら口を開く。
「ああ、この方ですね。
飯酒盃さんでしょ。
3ヶ月ほど前の高齢者講習に来られてましたよ」
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