奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

かたまりさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

一緒にアイスを食べようね
短編 2025/02/03 15:57 123view

幼稚園児だった俺は、小さい頃から
変なものが見えていた。例えば、
壁に浮き出る顔(会話が出来る)
勝手にドアを開ける手
侍の様なおじさん
などなど、他にもたくさんあるが
その他のようなものをたくさん見ていた。
まぁそれが所謂、幽霊。ってやつ
そんな俺が体験した一つの話。
この話の時の俺は確か幼稚園児だった。
俺自身、年齢やその時のことはほぼ覚えてない。
俺の親父が働いてた会社のAさん、後輩らしい。
そのAさんは俺の親父に色目を使うやつで、
それがまた性格の悪い女だったらしい。
シャツに口紅をつけたり、わざと親父に
ハガキを送っては、「〇〇さんへ♡」
(〇〇は親父の下の名前)
ほかにも会社で「〇〇おとーさん」など
馴れ馴れしくしたそうだ
それで何度かお袋と修羅場になってた。
当時の俺はと言うと何も教えてもらえず
Aさんの事も知らなかった。
だがその数カ月後、Aさんが癌になったらしい。
社長達からは「Aの見舞いに行っほしい」と
言われる、どうやら病院では親父の事ばかり

叫び続けるらしい、だが親父は行かなかった。
そのままAさんは死んでしまったらしい。
葬式も日にちは教えてもらったが欠席…。
その日の夜だった。昔から夜泣きを
全くしなかったはずの俺は、初めて夜泣きした。
それも何だがとても変だった。
ずっと俺は女のように甲高い声で
親父を呼び続けたのだ。
親父達はギョッとしたらしい
だって今日はAさんの葬式の日だから。
でもこんな日のあるかもしれない
たまたま今日は初めての夜泣きで、
なんとなくたまたま今日は親父が
恋しかったのかもしれない。でもその考えは
一瞬にして消されるのだった。
俺が泣きじゃくりながら発した言葉
(おとーさん!!!!!アイス食べたいよ!!!)
と、俺は親父の事を「パパ」と呼ぶし、
お袋も「パパ」と呼んでいる。それにアイスは
嫌いだ、冷たい感覚が嫌いなのだ。
俺を抱き上げていたお袋は俺を落としそうだった
親父はただ必死に冷凍庫にあったアイスを
取り出し食べさせ、
「はよ帰ってくれ!お前のことは好きやない!」
と叫んでいた。すると静かになって

俺は眠りについた、次の日の朝、親が
昨日のことを尋ねるも何も覚えてなかったらしく
今も覚えていない。
親父は何となくお払いに行こうとしたが
怖くて足がすくんだようだ、行こうとしたら
あの女が名前を呼んで憑いてきそうな気がしたから
成長した今の俺はアイスが好き
冬でも夏でも食べるのが好き、大好き
そういや、親父は社長から聞いた話らしいが
Aさんの死ぬ最後、ずっと彼女は
親父の愚痴を話していたそうだ
「なんで私じゃないの」とか…そして彼女の
大好物のアイス、それも欲しがってたらしい。
だがどっちも手に入れることはできず死んだらしい
それも数年が経った、親父は寿命でそろそろ…な
時期になってしまった、その上認知症…
でもこれはAさんの事とは関係ない
死んでしまう前に色んな事尽くしておこう
親父の寝てる病室に入る
「親父、お見舞いきたで」
「あんた誰や…ワシ帰るからほっといて…」
「俺あんたの息子やで、
何か食べたいもんあるか?豚饅とかうまいで」
「いらん」
「そうか…」
「…せやな、おとーさんアイスたべたいわ」

1/2
コメント(1)
  • こんにちわ、アイスの話の作者です
    ホンマの話です。

    2025/02/03/16:02

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。