「死んだら、どうなるかって?
そんなの決まってるじゃん
『無』だよ『無』!
夜寝るとき、電気消すだろう
まさにあんな感じ
きれいさっぱり永遠に真っ暗闇だね
そっちの方がすっきりしていいよ」
日村がいつものごとく威勢良く話している。
茶色いサラサラの髪に銀のピアス。
浅黒い顔の一重でつり上がった瞳には、いつも勢いがあった。
もう季節は秋になり肌寒いはずなのに、黒いティーシャツにGパンといういでたちだ。
今さえ楽しめれば、それでいい。
いわゆる『リア充』という考え方なのだろう。
「じゃあ、お前は『生まれ変わり』とか『心霊』とかは信じていないんだな?」
川口は丸テーブルの上のコーヒーカップを持ちながら目の前に座る日村に言った。
きちんと分けた黒髪に銀縁の眼鏡。
色白で真面目な文学青年という風貌で、日村とは好対照だ。
二人は同じ大学に通う同級生同士である。
※※※※※※※※※※
ある秋の日の午後。
大学構内にあるカフェで、次の講義を待つ間、二人は『人は死んだら、どうなるか?』という話をしていた。
「だいたい、お前は非科学的なんだよな。
人間の全ての活動は『脳』でコントロールされていて、泣いたり笑ったり怒ったり気持ちよかったり、とにかく全部を『脳』がコントロールしていて『意識』なんかもそうで死んだら『脳』も死ぬから、全ては終わりジエンドおさらばってやつさ。
だから『幽霊』なんかいるはずないんだよ。
もしそんなのがいるなら俺の前に姿を現して欲しいな。
だったら信用してやってもいいよ」
本当に幽霊になって現れたな…
逝っても約束は守るいい友達だな…
意外と律儀なやつでした(笑)
━ねこじろう
怖いのかはわからないけど、良いやつだよ日村は(;_;)