あきひこさん
投稿者:ねこじろう (147)
人間40年も生きてきたら、日曜日にやることなんてありきたりになるもんさ。
※※※※※※※※※※
9時に布団から這い出して、顔洗って歯磨いてトイレ行って飯食って、、、
いや、飯食ってトイレだったかな?
まあ、そんなことはこの際どうだって良いだろう?
飯食ってからしばらくソファーで携帯いじっていたら退屈してきて、35万キロ走ってる箱型スカイラインで朝から安アパートを出掛けたんだ。
最近オーブンした山あいにあるデカイショッピングモールで、買い物でもしようかなってね。
別にいつもの近くにあるチンケなスーパーでも問題ないんだけど、たまには息抜きにも良いかなとか思ったわけさ。
※※※※※※※※※※
山を削って作られたという、そのショッピングモールの広い駐車場は8割方埋まってたな。
で店内はというと、どいつもこいつも行くとこないのか?というくらい混んでたよ。
家族連れとかカップルとか、皆でかいショッピングカートを押しながらブラブラ往き来してる。
俺はというと取り敢えず切らしていたトイレットペーパーと育毛剤は確保したから、あとは食材か?などとと思いゴロゴロカートを押しながら奥にある精肉コーナーに向かったんだ。
ショーケースの前で肉を吟味してると、
「ねぇあきひこさ~ん、今晩は何食べる~?」
となにやら奇妙に甲高くて胡散臭い女の声が聞こえたものだから辺りを見回すと、少し離れたところに凄いオバサンがいたんだ。
膝丈ほどの濃いピンクの毛皮コートを羽織り、同じ色に染めたソバージュの長い髪。
デカイ派手なサングラスを掛けていて、指にはこれでもかというくらい指輪をはめている。
カートの上にはてんこ盛りになるくらい商品を乗せていて、オバサンは下に乗せたペット用のケージに向かって何か話しかけていた。
「そうね、わかったわあきひこさん、じゃあ今晩はお肉にしましょうね」
─あきひこさん?お肉?
ペットの小型犬でも連れてきてんのか?
それにしても「あきひこさん」って、、、
それとなく見てると、そのオバサン、ショーケースから一気に5パックくらい高級牛肉を取ると無造作にカートに入れ、そそくさと立ち去った。
※※※※※※※※※※
昼近くになって腹が減ったから、レストラン街に行ってみた。
まだ昼前ということもあってか、比較的スムーズに席に座ることが出来たな。
ハンバーグの専門店だったけど、既に半分くらい席は埋まっていたと思う。
鉄板に乗ったアツアツのハンバーグを食べていると、
「さあ、あきひこさん、美味しいハンバーグ一緒に食べましょうね!」
おばさん何者?
確かに‼️